第97回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER
青山学院大学は「駅伝力」で連覇を狙う。2年ぶりの優勝奪還へ4年生が引っ張る東海大学。
posted2020/12/25 11:00
text by
箱根駅伝2021取材チームhakone ekiden 2021
photograph by
Yuki Suenaga
青山学院大学
第96回箱根駅伝(前回大会):総合優勝
13年連続、26回目
前回王者でありながら、挑戦者として泥臭く。
文=生島淳
12月10日に行われた箱根駅伝チームエントリー後の記者発表会。青山学院大学の原晋監督は、毎年恒例の作戦名をオンラインで宣言した。
「今回は、絆大作戦でいきます」
その理由をこう説明した。
「今回は真面目にいきました。コロナ禍の影響で、人と距離を取らないといけないとか、世界が分断社会になってしまいました。箱根駅伝を通じて全国の方々に元気と勇気、絆を取り戻す活動をしていきたいと思います」
今季は、例年にもまして部員一丸となって活動に取り組んできたという。
「4月7日に緊急事態宣言が出され、どうやって部活動を続けていくか悩みました。青学大としては、寮は閉鎖することなく、全員が一緒に練習を続けることを選択しました。もちろん、感染予防策は徹底し、選手たちは外食も我慢し続けています。君たちは大変だな、と選手に言ったら、『いつもの生活とあまり変わりませんよ』というのが学生の返事だったんです。いつもの活動の延長線上なので、あまり気にしていない、と。選手たちのたくましさを感じました」
夏合宿も例年通り実施したものの、大会の延期、中止が相次ぐなか、今季の青学大の本格的な初戦は11月に行われた全日本大学駅伝となった。
原監督が考える「駅伝力」
全日本大学駅伝では、例年通りの強さを見せる一方で、脆さも浮き彫りとなった。
青学大は7区終了時点でトップに立ち、優勝のチャンスは膨らんだ。しかし、8区に配置されたエースの吉田圭太(4年)が不調で4位に終わった。原監督はこのレースを次のように振り返った。
「8区の不調に原因を求めがちですが、“デコボコ駅伝”だったことが最大の問題です。1区、2区で先頭争いに絡めず、3区から5区で盛り返したかと思うと、6区で後退。7区でキャプテンの神林勇太(4年)が区間賞を取って先頭に立ったのを吉田が生かせなかった。区間ごとに浮き沈みがあり、流れが作れなかったのが敗因でしょう」
流れを作るには「駅伝力」が必要だと原監督はいう。今季は試合数が少なかったため、その力を見極める機会が限られていたことが、選手の起用を難しくしていた。では、箱根駅伝における駅伝力とはなにか。いくつかの条件があると原監督はいう。
「ひとりで走り切れるメンタルは必要ですよね。それにペース配分、スパートするタイミングを見極められる嗅覚があること。つまり、20kmをコーディネートできる力を持っていることです」
つまり、ランナーとしての総合力が駅伝につながるということだろう。その意味では、経験豊富な上級生が頼りになる。