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<箱根駅伝>青学大の“門限は10時” 神林主将が明かす「“笑顔でキラキラ”だけじゃ今の箱根は勝てないです」
text by
涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui
photograph byShunsuke Mizukami
posted2020/12/18 17:03
(左から)青学大のエース吉田圭太、ルーキー佐藤一世、原晋監督、そして神林勇太主将
神林 「キラキラ」とは真逆の世界でしたね(苦笑)。入ってみると「全然緩くないじゃん」って! 僕らが入学したのが、ちょうど青学が3連覇した直後。それで監督がメディアで発言をしたりする影響もあったのか、他の大学も青学を意識して、規則などを見直し、厳しすぎる上下関係や理不尽なルールもなくなった時期でした。だから、他の大学の話を聞いくと門限がなかったりして、「結局うちが一番厳しいじゃん!」って(笑)。
「10時の門限を破った選手はいません」
――前回の優勝後の記者会見でも、前主将の鈴木塁人さんが同じことを言っていました。
神林 はい、「うちが厳しい」って胸を張って言えます。もちろん、それは理不尽なルールではなく、理由があるからこそ守れるんですが、コロナがあった今年なんか10時の門限を破った選手はいませんし、みんな9時には寮に戻ってきている。9時過ぎると学生同士で「あいつどうしてるの? 連絡してみようか?」って。
監督ももちろん言うんですけど、学生が全部やる。もし何か問題があったとしても、まずは学生を全部集めて、事情を聞いて、説明して、そのあとで監督に「こういうことがありました」と報告する。それが僕の入学した時から普通の光景でした。学生同士だったら「なかったことにしよう」になっちゃうと思うんですけど、それができているのが青学の強さかな、と。簡単なように聞こえて、すごく難しいことですから。
――神林選手が入学したときには、そのスタイルというか組織風土ができていた?
神林 そうですね。それも監督が試行錯誤して、色々な経験をされてきたなかで、「これが一番チームがうまくいく」というものだと思います。僕らはその組織がある程度、完成された後で入ってきたので、「当たり前のことを当たり前にやっている」という感覚。先ほども言いましたけど、ルールの意味を理解しているから、やらされているんだけど、やらされているわけじゃない……というか。
「(原監督は)よく喋るじゃないですか?(笑)」
――原監督の組織のトップとしての「うまさ」はどのあたりにあると思いますか。
神林 やっぱり、言葉なのかな。よく喋るじゃないですか?(笑) その言葉に説得力があるし、大切だと思ったことは何度でも繰り返すんです。例えば「準備とこだわりが大切」ということは、4年間常に言われ続けてきて、耳にタコができました。
――今季は別だと思いますが、以前は大学院に通っていたり、メディア出演があったりして、監督があまり練習にこない時期もあったと聞きます。それでも規律が緩まずにルールが徹底され、強さをキープできているのがすごい。
神林 すごいですよね。僕らも口では冗談半分で「今日は監督がいないから、このまま帰っちゃおうか」って。でも、結局、みんなしっかりと練習する。強い、弱い関係なく、全部員が何が大切かを考えて、ちゃんと練習をする。それが引き継がれてきた青学の伝統なのかもしれませんし、そういうしっかりしたタイプの選手を監督がスカウトしてきているのもあると思います。
ウチの大学はスポーツ学部や体育学部があるわけではないので、自分で考えられなかったり、勉強ができなかったりすると、本当に苦労するので、監督はそういうことも考えているのかもしれません。
――先ほど「完成された組織に入ってきた」というお話がありましたが、この4年間で変わったことはありますか?