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箱根駅伝出場者は就活に有利? 「選手と主務の序列は…」実業団チームから商社、消防士、YouTuberまで
posted2021/01/03 17:02
text by
酒井政人Masato Sakai
photograph by
Nanae Suzuki
正月の箱根駅伝でキラキラに輝いて見える学生ランナーたち。彼らの多くは、走ることに大学生活を捧げているといっても過言ではないだろう。しかし、人生のドラマは大手町のゴールで終わるわけではない。箱根駅伝を“卒業”した後も、人生は続くことになる。
果たして、箱根ランナーたちはどのような就職活動をして大学卒業後の人生を歩んでいるのか。知られざる箱根ランナーたちの“就活事情”を探ってみたい。
実業団チームに進む場合の就活事情
前回の箱根駅伝にエントリー(1チーム16人)された4年生は97人いた。そのうち、実業団チームに進んだのは約60人。チームや年度よって異なるが、箱根駅伝常連校の場合は選手の3分の1ほどが大学卒業後も競技を続けたいと考えている。
強い選手は1~2年時で実業団から声がかかり、合宿に参加するなどして、チームとのマッチングを見極めていく。一方、実業団から勧誘されない選手は、大学の監督を経由して様々なチームに打診することになる。
箱根駅伝常連校のA監督によると、「早く声をかけていただける場合は、4年生になる前に(チームを)決めさせていただいています。どこからも声のかからない選手は売り込みをして、返事を待つという状況です。ただ、レベル的に厳しい選手は、実業団に進むのを考え直すように諭すこともあります」とのことだ。
なおニューイヤー駅伝(全日本実業団駅伝)に出場できるのは37チーム。本格強化している実業団は男子だけで50社ほどある。ただし、前出のA監督は「企業が求めるレベルは上がっていますし、近年は採用人数が少なくなっている印象です」と話す。
学生トップクラスの選手は勧誘が多いものの、大学によって入社先に偏りがある。たとえば、青学大は原晋監督がアドバイザーを務めているGMOインターネットグループ(選手13人中7人が青学大OB)と原監督が在籍していた中国電力に、東海大はSGホールディングスグループと横浜DeNAに主力級が進むことが多い。また伝統的に順大は富士通とトヨタ自動車、中大はHondaに太いパイプがある。