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箱根駅伝出場者は就活に有利? 「選手と主務の序列は…」実業団チームから商社、消防士、YouTuberまで
text by
酒井政人Masato Sakai
photograph byNanae Suzuki
posted2021/01/03 17:02
新年の箱根路を駆ける学生ランナーたちは、その後も各々の道をひた走る
青学大の主将・神林勇太の一般企業就活
なかには学生トップクラスの実力を持ちながら一般企業の就職を目指す選手がいる。前回の箱根駅伝9区で区間賞を獲得した青学大の主将・神林勇太は大学で競技の引退を決意。一般企業の就活を経験しながら、11月の全日本大学駅伝でも7区で区間賞を奪う活躍を見せた。
「就職が決まらなかったらどうしよう、という不安もあったので、前半シーズンは競技に集中するのが難しくて大変でした」と神林は言うが、そのなかで長年箱根駅伝のスポンサーをしているサッポロビールの入社が内定している。
「競技の実績に助けられた部分もあったと思うんですけど、他の学生と同じように最初から選考していただきました。いろんな業種を受けましたが、絞って10社くらいです。普段から自分の思い入れのある企業を選んだので、他の飲料メーカーさんは受けていません。父親もずっとビールはサッポロでしたから(笑)」
柏原竜二に食らいついた早大・猪俣英希のその後
神林のように選手としての実績があると就活でも大きなアドバンテージになるが、箱根を走る前に、学生が憧れる5大総合商社の内定を勝ち取った元選手もいる。2011年の箱根駅伝5区を走った早大・猪俣英希だ。
猪俣は一般入試で早大スポーツ科学部に合格。学生駅伝の出場を果たすことなく、3年時の箱根駅伝を終えた。そこから筆記試験対策などを開始すると、就活と並行しながらトレーニングも継続。面接では「箱根を走ったの?」とよく聞かれたというが、「競争部で養った自信が対応にも出たと思います」と第一志望だった三菱商事の内定をゲットした。
夏以降は競技に集中して、全日本大学駅伝の6区を区間2位と好走。箱根駅伝は5区を任された。東洋大・柏原竜二に2分54秒もの大差をひっくり返されたが必死に食らいつき、27秒差で芦ノ湖のゴールに飛び込んだ。その後、早大は6区で逆転。学生駅伝3冠を達成したうち、猪俣は全日本と箱根の優勝メンバーに名前を連ねたことになる。