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【衝撃の箱根駅伝】2区区間新・東国大ヴィンセントのスゴいふくらはぎって? “牛丼”を愛する最強留学生の秘密
posted2021/01/03 17:03
text by
近藤篤Atsushi Kondo
photograph by
Atsushi Kondo
イェゴン・ヴィンセント、その速さは予想通りだった。
東京国際大学2年生、昨年の12月5日に20歳になったばかりのケニア人は、2021年1月2日の箱根駅伝2区に登場。6.8km付近で2位集団に追いつくと、8人の選手の右側を一気に駆け抜けていった。
歩数で表現するなら16歩で、時間で表現するなら5秒で。
こういうシーンをどこかで見たことがある。
そうだ、小学校の運動会、全生徒参加のリレー競技、とんでもなく足の速い子が登場し、トラック半周分の遅れを一気に取り戻し、さらには先頭に躍り出てしまう。
保護者席の最前列、我が子の姿を撮ろうと朝一から場所取りをし、必死になってビデオを回していたどこかのお父さんが呟く。あの子さあ、反則だよなあ!
運動会と異なるのは、その舞台が箱根駅伝、しかも花の2区。ヴィンセントが追い抜いていった8人の選手は全員、各大学の顔とも言えるエリートランナーばかりだったことだ。
権太坂も「戸塚の壁」も激走、相澤晃の記録を塗り替えた
9.2km地点で東海大の名取燎太をかわして先頭にたったヴィンセントは、そのままペースを緩めず激走を続け、権太坂を登り、そしてさらにラスト3km、「戸塚の壁」と呼ばれる上り坂も駆け登った。
前半から積極的に飛ばしたせいか、さすがに終盤ペースは落ちたものの、3区の内田光にタスキを渡して時計を見ると、記録は1時間05分49秒。前回、東洋大の相澤晃が叩き出した史上初の1時間5分台、1時間05分57秒という区間記録をさらに8秒縮めてしまったのだ。