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南野拓実の最低評価は事実も リバプールでのプレミア初フル出場を“失敗”とするには尚早なワケ
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph byGetty Images
posted2020/11/29 17:40
特筆すべきシーンは確かになかった。それでも過密日程で野戦病院化しているリバプールにあって、南野拓実にはまだチャンスがくるはずである
モハメド・サラー、サディオ・マネのゴールを取り消し、終了間際にブライトンにこの日2本目となるPKを与えるなど、VARが試合の主導権を握る興ざめの展開だったが、試合内容自体は互いに攻撃的なサッカーをみせる面白いゲームだった。
無難なパス続きで『BBC』では最低評価
さて、その試合での南野のパフォーマンスはというと――
英『BBC』による試合後の採点では両チーム合わせて最低評価の「3.93」。地元紙『Liverpool Echo』もチーム最低タイの採点で「中盤の役割を担い、試合に入れるように努力したが、必要な攻撃力を発揮し始めたのは後半に入ってからだった」と厳しい評価を下したとおり、ユルゲン・クロップ監督への良いアピールとはいかなかったようだ。
現地メディアに評価されたように、とりわけ前半は攻撃においてほとんど存在感を示すことができなかった。
ボールが回ってきてもバックパスなどの無難なパスが先行するばかりで、かといってドリブルで持ち上がるということもない。前への推進力をもたらす、あるいは攻撃の起点となるようなプレーができていれば少しは評価が変わっていたかもしれない。
ポジショニングも中盤の空いたスペースを埋めるように位置取り、やけに全体のバランスを気にしているようにみえた。攻撃のための動き出しがないために、チャンスにつながるようなボールも来ない、という悪循環だ。
中盤を務める各選手の特徴と比べると
ワイナルドゥムやケイタはドリブルでペナルティボックスに侵入できる。オクスレイド・チェンバレンは正確かつ強烈なミドルシュートが打てて、ヘンダーソンはクロスやパス1本でチャンスメイクできる。出場こそ少ないがチアゴもそういう選手だ。
リバプールのインサイドハーフで、一流の面々とのポジション争いを制すには、攻撃面で南野なりの特徴を出していくことが必要だろう。