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史上最強・ソフトバンクが「MLB王者」と“真の世界一決定戦”をしたら…を考えてみた
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byNanae Suzuki
posted2020/11/27 17:03
読売ジャイアンツを圧倒して4連勝。日本シリーズ4連覇を達成した福岡ソフトバンクホークス
それがどうであろう。第3戦の他にも公式戦での投球を何度か見たが、ツーシームやカットを1球も使わずして、自分の持っている力の一部だけで日本では抑え込んでしまう。日米の差を感じた一例だった。
その他でも150キロ以上の速球を投げ込むホークス投手陣に対し、ジャイアンツの打者陣はそれが速球系であるとわかっていても打ち返せなかった。
150キロ=93マイル。
今のメジャーでは速球系の平均値であり、93マイルの速球系だけでは打者に太刀打ちできない。圧倒するには少なくとも96マイル(約155キロ)以上が必要となる。
今季から海を渡ったレッズの秋山翔吾、レイズの筒香嘉智も155キロ以上の球速を自分のポイントで打つことはなかなか出来なかった。来季へ持ち越した課題である。
日米の差は、投手ならば、あと5キロの球速アップをした上での制球力。無論、怪我をしない身体作りも前提である。そして、打者ならば、155キロへの対応力が必要となってくる。このレベルに辿り着くのは簡単なことではないだろう。
ホークスがメジャーに太刀打ちできる部分とは?
それでも、今のホークスでも、太刀打ちできる部分は十分にある。
打線の主軸を務めるジュリスベル・グラシアルであっても、ゴロの右前打で一塁から三塁を取った走塁への意識の高さ。懸命に一、二塁間にゴロを転がそうとした打者・栗原陵矢の姿勢と技術も見逃せない。
常にプレッシャーをかけ続ける足を絡めた野球が、どれほどに相手チームに負担をかけ、追い詰めていくのか。加えて、バッテリー間にあった徹底した配球力と制球力にもあらわれているように、野球の質という点ではメジャーには引けを取らない。いや、それ以上とも感じる。組織力や采配の面でも、それは同様だろう。