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【韓国代表】コロナ陽性者続出で悲痛ムードも なぜ日本と同じく欧州遠征を2戦できたのか
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byGetty Images
posted2020/11/26 17:00
日本と同じくメキシコには敗戦したものの、ソン・フンミンが招集されるなど韓国代表はコロナ禍における代表強化への一歩を歩みだした
「欧州組のみでの代表編成」は不可能
韓国は去る10月のAマッチデーでは「安全第一」の方針を貫いた。遠征、もしくは他国を韓国に招くことはせず、国内での「フル代表vs五輪代表」の連戦を戦った。11月のオーストリア遠征は、パウロ・ベント監督の強い要請に基づくものでもあった。
代表チームの歴史でも「欧州の第三国で強豪国と対戦」の経験は日本よりもはるかに深く、2012年5月30日にスイスでスペインと対戦したこともある。1-4の惨敗を喫し、“教科書代”を払っている。
いっぽう、現在の代表チームは日本のように「欧州組のみでの代表編成」は不可能だ。その代わり12チームで戦うKリーグ1部および国内カップ戦は11月8日ですべて終了。残るは24日に開幕したアジアチャンピオンズリーグのみだった。国内組は招集しやすい状況にあった。
それゆえ、国内組15人、欧州組9人の25人構成で代表を組み、遠征に出向いた。
徹底した感染対策をしている中で
当然のごとく、十分な感染対策は行っていた。
チームに同行する医療スタッフには、外科医のみならず、感染症にも強い医師も加えた。遠征先ではホテル内の人の出入りの管理徹底やマスク着用はもちろん、練習時の飲料水は選手間で共有せず、各自のボトルから摂取。また、移動直後に軽く体を動かすトレーニングもホテル内で行わず、屋外の練習場で行うことなどを心がけた。
「久々に会う選手は嬉しくなって話し込んだり、また一緒にスマホなどでゲームをしたりするものですが、これも徹底してコントロールしていたんですよ。食事も各自で摂るようにして」(韓国一般紙サッカー担当記者)
オーストリア到着後、FIFAの規定により、試合の72時間前にPCR検査を行った(規定ゆえ、日本も行っていたことになる)。
KFA(大韓サッカー協会)側はベント監督やソン・フンミンの検査時の写真(鼻の粘膜の摂取の様子)を公開するなど「万全のケア」を伝えたが、そういったなかで感染者が出てしまった。
GK チョ・ヒョヌ(蔚山現代)
FW イ・ドンジュン(釜山)
MF クォン・チャンフン(フライブルク/ドイツ)
MF ファン・インボム(ルビン・カザン/ロシア)
追加で受けた2次検査でさらに2人に陽性判定が出た。
MF キム・ムヌァン(釜山)
MF ナ・サンホ(城南)
選手6名に加え、スタッフ1名の計7名が「感染」ということになった。全員が無症状だった。