海外サッカーPRESSBACK NUMBER
【韓国代表】コロナ陽性者続出で悲痛ムードも なぜ日本と同じく欧州遠征を2戦できたのか
posted2020/11/26 17:00
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph by
Getty Images
日本から見て、韓国という国のサッカーを見る価値がどこにあるのか。イングランドでもない、ブラジルでもない、このアジアの国を。
ライバル関係、そしてもうひとつは間違いなくこの点にある。
「自分たちにとってのアナザーストーリー」
地理的に近い。よって近年では「代表Aマッチごとに主力をどう欧州から極東に呼ぶか」という世界で数少ない共通の悩みがある。なんだかんだで2006年以降のW杯での結果が似通っている。ピッチ上で儒教思想の影響がある(要は欧州にあまりない「年齢による上下関係」がある)。
まあおカタい話を続けると、資本主義や漢字文化圏といった共通点に至っては、サッカーのみならず社会全般でも比較の意味がある。近いようで違う。最高の類似比較対象なのだ。
11月の国際Aマッチでは、ものすごく価値のある話が出てきた。
「同じくオーストリアに遠征」
韓国は11月15日(日本時間)にメキシコ、17日にカタールと同地で対戦した。オーストリアは試合直前に大きく感染者が増えてしまったが、もともと欧州のなかでも感染が少ないことで知られていた。
コロナ感染者発生で雰囲気は悲痛
いっぽうで日本と韓国にはこんな違いがあった。
「韓国側では代表チーム内に新型コロナ感染者が発生」
15日のメキシコ戦を終えたあと、チーム内最年長で元ヴィッセル神戸のチョン・ウヨン(アル・サッド/カタール)が力なくこう口にした。
「まずは各自が健康に支障なく、所属チームに戻れることを考えなければならなくなりました。これ以上の感染者が出ないように、気をつけなければなりません」
その雰囲気や、悲痛といったところだった。
Aマッチウィーク後、韓国の記者仲間から「日本代表からは感染者が出ていないの?」という問い合わせがあった。日本にも十分起こりえた話。貴重なアナザーストーリーだ。チームに何が起こっていたのか。