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【韓国代表】コロナ陽性者続出で悲痛ムードも なぜ日本と同じく欧州遠征を2戦できたのか
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byGetty Images
posted2020/11/26 17:00
日本と同じくメキシコには敗戦したものの、ソン・フンミンが招集されるなど韓国代表はコロナ禍における代表強化への一歩を歩みだした
国内組の今後を考えなければならない
ここからメキシコ戦開催まで、KFA側はかなり難しい舵取りを要求された。現地と韓国との間で延々とオンライン会議が続いたという。
まず、クォン・チャンフンが所属クラブの意向により、試合前々日にドイツに戻った。
19人で試合を行うことになった自分たちの事情もさることながら、相手やオーストリア当局側が試合開催を受け入れるのか。さらには当座の試合のみならず、陽性反応の出た国内組の選手の今後を考えなければならなかった。「感染者は韓国入国前に10日間隔離せねばならない」という韓国政府の方針があるためだ。
メディア側は「選手の追加招集」「そのまま開催」あるいは「中止」を報じた。記者団が遠征に同行できなかったため、韓国から現地情報を収集した「YTN」は、「事実上開催は難しいのでは」というレポートまでも行った。
「金が惜しくて遠征強行したのでは」の声も
またネット上ではファンから協会に対してこういった目が向けられた。
「感染が分かっていたのに、すでに支払った金が惜しくて遠征を強行したのではないか?」
「試合をしないとスポンサー契約が切られるから、協会側は無理をしたのでは?」
これに対して協会側は「招集時に各選手にPCR検査を受けてもらい、陰性である証明をもって遠征に出発した」と火消しに奔走しなければならなかった。
また、韓国メディアでは「感染経路が分からない」という点も注目を集めた。
選手は韓国や欧州の各都市から集まっている。どこからウイルスがもたらされたのか、また現地でトレーニング中に感染したのか。これが疫学上、調査が不可能だという。このことは日本よりも韓国で大きく気にかけられる点でもある。今年5月にソウル市内の繁華街、梨泰院で集団感染が出た際には5次感染、6次感染者の数まで丹念に調べ、発表されていた。
結局、メキシコ戦の開催が決定したのはキックオフ4時間前だったという。