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問題児バウアーと新たな活躍の場。“投球術の鬼”とダルビッシュ有の共演は実現するのか? 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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posted2020/11/21 11:00

問題児バウアーと新たな活躍の場。“投球術の鬼”とダルビッシュ有の共演は実現するのか?<Number Web> photograph by Getty Images

ダルビッシュをかわしてサイ・ヤング賞を獲得したバウアー。今シーズンの防御率は1.73でリーグトップに輝くもFA権を行使し、今後の去就に注目が集まる

メッツやブレーヴスからも目が離せない

 メッツは、バウアーのほかに、やはりFAとなった大リーグ屈指の捕手J・T・レアルムートや、長打力とスピードを兼備した中堅手ジョージ・スプリンガーの獲得も狙っている。さらにできることなら、インディアンスのフランシスコ・リンドーア遊撃手をトレードで手に入れたい。夢のようなセンターラインの補強プランだが、もしこれが実現すれば、来季のメッツは大化けしてもおかしくはない。

 なにしろ、このチームには、18年と19年にサイ・ヤング賞を受けたジェイコブ・デグロムがいる。20年のサイ・ヤング賞投票では、ダルビッシュに次いで3位に終わったが、奪三振104個はナ・リーグ最多だ。もしバウアーとの二枚看板が実現し、残留の決まったマーカス・ストローマンが本来の力を発揮すれば、20年3月にトミー・ジョン手術を受けたノア・シンダーガードの復帰を待たずとも、超強力な先発投手陣が形成されることになる。

 伸び盛りの若手がそろっているブレーヴスも面白い。20年のレギュラーシーズンは、マックス・フリード以外に信頼できる先発がいなかったが、ポストシーズンでは新星イアン・アンダーソンが出現して「貧投」のイメージを大きく変え、王者ドジャースをあと一歩のところまで追いつめた。

 ここにバウアーが加わり、打線を担うロナルド・アクーニャJr.やオジー・アルビーズがもう一段成長すれば、ダークホースの域を超えてペナント争いの最前線に躍り出てもおかしくはない。

日本人投手との共演はあるか?

 ところで、日本のファンが期待するカブス入りの目はないのだろうか。残念ながら、チーム改造期に入っているいまのカブスの懐具合では、バウアーを買う力はない。ダルビッシュとの二枚看板が実現すれば素晴らしい頭脳派デュオの誕生だが、現状ではまずむずかしい。場合によっては、高年俸のダルビッシュが他球団へ移籍するケースさえ考えられる。大谷翔平のいるエンジェルスにしても、アナハイムという地域の意外に閉鎖的な気風が、バウアーの気質と合うかどうか。

 投球術の鬼と評され、球界一の気むずかし屋ともいわれる性格だけに、バウアーの行く先が決まるまでには、今後も二転三転の展開がありそうだ。「派手な変人」のイメージにはニューヨークがよく似合うが、そうなったらなったで、メディアとの確執や軋轢が起こってもおかしくはない。経過に注目しよう。

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