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久保建英と同じ19歳、“J屈指のドリブラー”斉藤光毅の「キャンセル力」とは【ベルギー移籍】
posted2020/11/16 17:03
text by
中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka
photograph by
J.LEAGUE
近未来の日本サッカーを背負うに違いないタレントが、またひとりヨーロッパで己を磨く。横浜FCの斉藤光毅が、ベルギー2部のロンメルSKへ完全移籍することになったのだ。今シーズンのJ1リーグ終了後の渡航となる。
19歳という年齢と彼のポテンシャルを考えれば、ベルギー2部からの欧州挑戦は少し控え目にも映る。ただ、ロンメルはマンチェスター・シティを筆頭に多数のクラブを保有するシティー・フットボール・グループ(CFG)の傘下にある。ステップアップを見定めることのできるクラブと言えるだろう。
横浜FCの育成組織出身の斉藤は、久保建英と同じ2001年生まれだ。18年3月に高校2年でトップチームに登録され、同年7月にJ2リーグでデビューを飾った。クラブがJ1昇格を勝ち取った19年シーズンは、J2リーグで29試合出場6ゴールをマークした。J1に戦いの舞台が移った今シーズンは、28試合消化時点で26試合に出場3ゴールの数字を残している。
年代別の国際大会にも出場してきた。17年のU-17ワールドカップは直前のケガで出場を逃したが、昨年のU-20ワールドカップにはチーム最年少の17歳で飛び級選出された。現在もU-19日本代表候補に名を連ね、来年開催のU-20ワールドカップ出場を目ざすチームで中核を担っている。
Jリーグでも指折りのドリブラーの可能性を、彼のパーソナルコーチを務める中西哲生氏に語ってもらおう。久保建英(ビジャレアル)や中井卓大(レアル・マドリー・カスティージャ)の成長に関わってきた中西氏は、今年1月から斉藤のレベルアップをサポートしている。
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サイドを選ばずに「ドリブルで突破できる」のはなぜか
斉藤光毅のプレーで最初に触れるべきは、やはりドリブルでしょう。
ドリブラーと呼ばれる選手の典型的なプレーは、タッチラインを背負いながらの仕掛けです。彼はそこから一歩進んで、ゴールラインに沿うようにドリブルで突き進んでいくこともできる。相手ゴールの真横にまで単独で侵入できるのは、ストロングポイントの1つとなっています。スペイン語で「レガテ」と言われる突破のドリブルです。
彼は右利きですが、どちらのサイドからも突破できます。しかも、どちらのサイドからも左右両方へ抜け出せる。横浜FCでも、サイドを選ばずに決定的なシーンを作っています。
そのドリブルを表現するならば、「細かなタッチで切れ味が鋭い」となります。さらに加えて、駆け引きがうまい。相手の出方や状況を見定めて、自分の良さを出せるような局面を作り出しているのですが、ポイントは「自分のプレーを決めない」ことにあります。