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“奇跡のCS進出”ならず…それでもライオンズを陰で支えた西武鉄道の「野球ダイヤ」、特別な半年
text by
鼠入昌史Masashi Soiri
photograph byMasashi Soiri
posted2020/11/09 11:03
「野球ダイヤ」を差配する西武球場前駅の松浦駅長
”野球ダイヤ”、2つのコロナ対策
ただ、その野球ダイヤ、今年は少し事情が違う。ご存知の通りのコロナ禍で、帰宅する観客が密にならないように気を配らなければならないし、そもそも観客数が制限されているからメットライフドームが満員になることはない。そうした中で、西武鉄道でも例年とは少し異なる野球ダイヤの運用をしているという。
「新型コロナウイルスの感染対策でいうと主なものは2つ。ひとつは案内放送の強化で、もうひとつは臨時列車の運行。ただ、臨時列車については平日のナイターで3本、これは例年とは変えていないんです」(松浦駅長)
3本の臨時列車「池袋行き」
狭山線のダイヤは15分間隔で西所沢~西武球場前間の往復が基本パターン。しかし、それだけではとうてい観客の帰宅需要は賄えないので臨時列車が必要になる。平日のナイター当日は、試合終了後にこの定期列車の間に1本ずつ、合計3本の臨時列車「池袋行き」が走るのだ。これは、コロナ禍で観客数が少ない中でも例年と変えていない。
「臨時列車の本数を減らすと、かえってその列車にお客さまが集中して混雑し、密になってしまうことがあります。なので、臨時列車は例年通り3本確保しています。ただ、開幕当時の無観客時はもちろん臨時列車の運行はしませんでしたし、観客を入れ始めた当初の臨時列車は2本でした。9月にはいって観客数の制限が緩和されたタイミングで、例年通りの3本の臨時、という形になっています」(松浦駅長)
メットライフドームへ野球観戦に訪れる観客のうち、6~7割ほどが鉄道利用。この比率はコロナ禍でもほとんど変わっていないという。取材した当日の観客は5645人。そのうち約73%の4100人ほどが鉄道で来場していた。