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久保建英に「え、これホント小学生?」から約5年 永里優季、“男性とサッカーできる”心身の秘訣
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byGetty Images
posted2020/11/05 11:02
アメリカ生活や日々のトレーニングなどでたくましさを増した永里優季。男子チーム加入も自然なことだった
ひとつの指標を得るうえで重要な場所
――12年から中西さんとトレーニングをするようになり、15年に中野さんと出会って、理論・技術と身体がマッチするようになっていく。でも、先ほどの話では15年くらいから目標を失って、辛かったと。
「だから、当時はトレーニングにやり甲斐を感じていました。W杯とか、オリンピックとか、大きな目標は立てられなかったので。もともと地味なことを続けるのが好きなタイプなので、なんか面白いこと見つけたなっていう感覚で」
――じゃあ、トレーニングが生命線だったんですね。その頃、トレーニングを受けるためだけに、わずか2日間のオフに帰国したこともありましたよね?
「ありましたね。そこに価値を見出していたので」
――身体と理論が合わさってきたこの2、3年のトレーニングは、楽しくてしょうがないのではないですか?
「言われることは、どんどんシンプルになってきています。毎回帰国するたびに新しいことを取り入れてくれるんですけど、大枠で見ると、やっていることは変わらない。その質の深さが変わっている感じです。自分の修正能力、体現能力も上がってきたので、やればやるほど変わっていく自分に出会えるのがすごく嬉しくて。あと、トレーニングをすることで、自分で気付けていなかったことに気づけたり、より自分の方に矢印を向けられる時間なので、本当に楽しいです。それをピッチに持ち帰ったときにどう出るのか。私がシーズンを通してどう変化して、どこが伸びたのか、こっちに戻ってきたときに知る機会にもなる。ひとつの指標を得るうえで重要な場所になっていますね」
突き詰めた先に数字としての結果が
――うまくなっていく自分が楽しいという感覚は、アメリカで見つけた生き方ともリンクしていますね。
「そうですね。それを突き詰めていった先に、数字としての結果が出るという感覚。別に結果が出なくてもいいかな、と思っている部分もあるんです。もちろん、勝負事だから勝利を求めないといけないし、攻撃的なポジションなのでゴールやアシストといった数字も求められるんですけど、それありきで考えるのではなく、自己成長に目を向けた結果、数字があとから付いてくるという考えにシフトできた。前までは結果ファーストだったのが、自分の成長ファーストに移行できたことは完全に繋がっています。それが生きがいとかやり甲斐にならなかったら、こうはなれなかったと思うので」