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敗者のメンタリティーを抜けだした日本ラグビー 4年越しの夢の対決“本物”ライオンズの隙は?
 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNaoya Sanuki

posted2020/11/01 17:02

敗者のメンタリティーを抜けだした日本ラグビー 4年越しの夢の対決“本物”ライオンズの隙は? <Number Web> photograph by Naoya Sanuki

6月26日にブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズとのカードを発表したラグビー日本代表。ハードなカレンダーだが、“本物”との対戦へ準備を進める

ライオンズにとってもホームは15年ぶり

 岩渕専務理事にとっては4年遅れで夢が実現したわけだが、当てがちょっと外れたのは、今回のライオンズの遠征地が南アフリカだったことだ。ニュージーランドやオーストラリアなら、地球半周ツアーの経由地として、時差解消も兼ねて日本に立ち寄ってもらう案もプッシュできたが、時差も少なく南下するだけの南アツアーで日本に立ち寄るのはありえない。

 かくして、夢の試合は遠征出発前の強化試合として、ホームユニオン内、スコットランドの本拠地エディンバラのマレーフィールドで行われることになった。同様のケースは2005年。ニュージーランド遠征を控えたライオンズが、出発前のウォームアップマッチの相手にアルゼンチン代表を招き、ウェールズのカーディフで対戦した例がある(25-25の引き分け)。

「ライオンズにとっても、ホームネーションで試合をする機会はほとんどない。我々がスコットランドに行って彼らと対戦することは、ライオンズにとっても前向きな話でした。その中で、会場がエディンバラになったのはライオンズ側の意向です。ホームネーションにはイングランドのトゥイッケナム、(アイルランド・)ダブリンのアビバスタジアムもあって、それぞれ素晴らしいスタジアムで、選択肢になり得たと思うけれど、こちらの希望ではなくライオンズ側の意向として、今回はマレーフィールドでやりたいと指定されました」

南半球3カ国の仲間入りも?

 念のため、重ねて確認の質問をした。

 2025年にはぜひ日本へ、とおっしゃったのは、オーストラリアツアーの中継地ということでしょうか、それとも? 

 すると岩渕さんは上機嫌で答えたのだ。

「日本も、4年に一度、ライオンズがツアーで訪れる遠征先になればそれはうれしい話ですけれど、そんな簡単な話じゃありませんからね。まずは日本で試合をしてもらうことを次のステップと位置づけて、その先はいかなるオプションもオープンに考えていきたい」

 大胆なコメントだ。冗談めかしてはいるが、言葉通りに受け取れば、4年に一度結成されるライオンズの遠征先として、南半球の強豪3カ国とともに、日本も仲間入りさせてもらうことを希望していることになる。もちろん、入れるなら日本としてはうれしい限りだが、それは先輩3カ国から見れば、12年に一度ライオンズを迎えていた既得権が、16年に一度まで後退してしまうことを意味しかねない。

 そういう複雑な世界ラグビーのパワーバランスを考えると、いつもの岩渕さんなら決して言葉にしない種類の、軽口としてはちょっと踏み込んだものだったのだ。

 とはいえこれも、ある意味予想できた流れでもあった。

【次ページ】 北半球に“2票”投じた日本

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