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敗者のメンタリティーを抜けだした日本ラグビー 4年越しの夢の対決“本物”ライオンズの隙は?
posted2020/11/01 17:02
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph by
Naoya Sanuki
岩渕健輔専務理事の口から、踏み込んだ言葉を聞くのは新鮮だった。
「私としては、ライオンズと日本でやりたいというのが一番の思いです。今回、マレーフィールドで試合をできるのはもちろん素晴らしいけれど、日本のお客さんの前でライオンズと日本代表の試合をしたいという思いは今も強い。今回の試合をステップに、2025年には日本で、という思いは強く持っています」
10月21日に開かれた、日本ラグビー協会の定例理事会のあとの専務理事ブリーフィングでの発言だった。この日、理事会に先立つ午後、日本ラグビー協会は、2021年6月26日に日本代表が英国エディンバラのマレーフィールドで「ブリティッシュ&アイリッシュライオンズ」と対戦することを発表していた。
南半球の各国から見ても12年に一度のまれびと
ブリティッシュ&アイリッシュライオンズとは、ラグビー界で「ホームユニオン」と呼ばれるイングランド・スコットランド・ウエールズとアイルランドのオールスターチームだ。初めて結成されたのは1888年のニュージーランド・オーストラリア遠征で、以来130年余りの歴史を持つ。87年にラグビーW杯が始まって以降は4年に一度、W杯の中間年に結成され、南半球の強国(にして英国植民地だった)ニュージーランド、南アフリカ、オーストラリアへ順繰りに遠征するカレンダーが定着した。
南半球の各国からみれば、12年に一度だけやってくるまれびとであり、選手にとっては、自分の現役時代に対戦するチャンスがめぐってくるかどうかさえわからない、本当の意味のドリームチームだ。
そんなチームと日本が対戦できるなんて、本当に夢のような話である。
当初の目標は2017年だった?
21日のリモートブリーフィングでは、記者からもそこに多くの質問が寄せられた。岩渕専務理事は、いつものブリーフィングとは異なる、弾んだ口調で質問に答えた。
「この試合を組むにあたっては、2017年がきっかけでした。15年W杯で南アフリカに勝った時、私は日本代表のGMでイングランドにいて、(ライオンズの)17年ニュージーランドツアーのときに日本に寄って試合をしてもらえないかという話をしていたんです。そのときは実現しませんでしたが、去年(19年)のW杯日本大会の期間中もライオンズ側と話をしていて、実現の運びとなりました」