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【全日本大学駅伝】“番狂わせ”の主役は…「大迫傑超え」スーパー1年生&28分台12人の順大が面白い 

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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posted2020/10/31 17:00

【全日本大学駅伝】“番狂わせ”の主役は…「大迫傑超え」スーパー1年生&28分台12人の順大が面白い<Number Web> photograph by JMPA

箱根駅伝予選会で目立った順大勢。ルーキー三浦龍司(ゼッケン56)は全日本は1区。箱根での起用法にも注目が集まる

「28分台ランナーが12人」

「層は厚くなっている手応えはあります。今回12人が走りましたけど、たぶん16人が走っても、そんなに大差なく走っていたんじゃないかなと思います」

 そんな長門監督の言葉を裏付けるように、上記の合計タイムには含まれないが、チーム内11番目、12番目の選手も、それぞれ1時間2分43秒、1時間3分6秒の好タイム。具体的な練習メニューは明かすことはできないというものの、予選会前の練習では「実戦的な練習で20人ぐらいが同じレベルでできていました」と言うのだから驚きだ。

 実際、箱根予選会の1週間後にあった順大競技会では、予選会不出場の選手のうち4人も、10000mで学生トップランナーの目安とされる28分台をマークしている。

 昨今の学生長距離界全体のレベルアップで28分台ランナーを複数名抱えるチームは珍しくなくなったが、順大は現時点で12人もの28分台ランナーを擁する。しかも、その12人には三浦や同じ1年生で成長株の内田征冶、前回の箱根で8区9位だった西澤侑真(2年)、前回の箱根で5区山上りを担った真砂春希(4年)は含まれていない。

 例年、各校とも11月中旬~12月上旬の記録会で好記録を続出させてくるが、順大が10月の時点でこれほどの人数をそろえているのは、高いレベルで底上げがうまくいっている証拠だ。

「予選会でも番狂わせがあったわけですから」

 もちろんどんなに選手層が厚かろうと、全日本大学駅伝は8人、箱根駅伝は10人と、出場できる選手の数は限られている。

 だが、長距離走はメンタル面がパフォーマンスを大きく左右する競技だけに、“やってきた練習に間違いはない”と選ばれたランナーは自信を持ってレースに臨めるだろう。

「予選会はタイムとしては自信になりましたけど、他大学の状況が分からないので、全日本で駅伝をやってみて、そこから箱根はどうしようかっていう展望が見えてくると思っています。予選会でも番狂わせがあったわけですから」

 長門監督は好結果に浮かれることなく、気を引き締めて伊勢路、箱根路に挑む。そこでは3強と目されている青山学院大、東海大、駒澤大にも果敢に挑戦していくはずだ。

 そして、もちろん今年も楽しみなのだが、予選会ではチーム内1位の三浦の他にも石井一希、前述の内田と1年生が好走。さらに、2年生にも野村優作、伊豫田達弥、西澤ら好選手が揃っているだけに、1年後、2年後はさらに楽しみになってくる。

 順大は、「初代・山の神」こと今井正人の同級生である長門監督の大学4年時、2007年の箱根駅伝を最後に大学三大駅伝の優勝から遠ざかっているが、復活の狼煙を上げる時は近そうだ。

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