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【全日本大学駅伝】3強「青学・東海・駒澤」を困らせるのは“ポスト阿部”問題を解消した明治大学だ
posted2020/10/31 17:01
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph by
Satoshi Wada
今季、出雲駅伝が開催されていたら……ひょっとしたら伝統ある紫紺のユニフォームが出雲路で躍動していたかもしれない。そして11月1日の伊勢路でもダークホースになるのではないか。そう思わせてくれる走りだった。
新型コロナウイルスの影響で、学生三大駅伝の開幕戦である10月の出雲駅伝が中止となってしまった。だが、その代替レースとして10月4日に國學院大、帝京大、明大、駒大、創価大の5校による「多摩川5大学対校長距離競技会」、翌週の11日に明大、早大、創価大、東洋大の4校による「トラックゲームズin TOKOROZAWA」と、2つの“臨時対校戦”が開催された。
その競技会でも選手の活躍が目立ったのが、その両方に参加した明大だ。今回の対校戦は5000mと10000mに出場した対校選手の合計タイムを競う形式で行われたが、多摩川5大学対校長距離競技会では優勝。トラックゲームズin TOKOROZAWAは4秒差の2位だった。
70年以上「優勝していない」
「我々は勝つという経験がなかなかなかった。なので、対校戦で勝つことができて、選手たちには自信になったと思います。チーム力が上がった結果です」
2018年に就任した山本佑樹駅伝監督がそう話すように、名門・明治も駅伝での勝利からは久しく遠ざかっている。
箱根駅伝で総合優勝7回を誇るが、最後の優勝は1949年の第25回大会までさかのぼらなければならない。また、一時期の低迷期を脱した後は、たびたび学生三大駅伝で優勝候補に名前が挙がったが、なかなか勝つことができずにいた。
近年の最大のチャンスは、2014~15年シーズンだった。この年は、大六野秀畝、有村優樹(ともに現・旭化成)ら4年生の層が厚く、3年生にも横手健(現・富士通)、木村慎(現・Honda)といった実力者がいた。スピード自慢が多いチームだけに、距離が短い出雲駅伝では優勝候補筆頭に押す声も多かった。ところが、台風19号の接近により大会自体が中止に。優勝のチャンスは悪天候によって摘まれた。そして今年も、5年ぶりに出場する出雲駅伝で優勝を狙っていたが、またも中止になった。
それだけに、代替レースとはいえ、チーム戦で優勝したことは、ようやく殻を破ったとも言える結果だった。