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五輪代表選考会が「慶大vs東大vs一橋大」のことも…「ボート競技」と“エリート校”の関係とは?
text by
小林哲夫Tetsuo Kobayashi
photograph byGetty Images
posted2020/10/13 17:02
ヘルシンキ大会では大学生と大学出身者(戦前の高等教育機関を含む)を合わせた人数が、出場者の7割を超えていた(写真はリオデジャネイロ大会での様子)
イェール大の学生がオリンピックの表彰台で……
慶應大はメルボルン大会代表選考会では京都大を一尺(約30センチ)差、時間にして0.3秒差で退けて、オリンピックの切符を得た。このとき、岩崎は「本命は東大だったので、欲はなかった」、渡辺は「オリンピックに出ることにすぐには気づかなかった」とふり返る。
メルボルン大会での成績は予選で2位、準決勝で4位、決勝には進めなかった。だが、気後れすることはなかったようだ。渡辺が話す。
「練習では隣にアメリカのチーム、イェール大の学生がいました。彼らは体がでかい。レースで外国人と並ぶのは初めてでみんなおっかなびっくりでした。でも、練習ではそんなに速いとは思わず、ずいぶん自信がついたものです」
優勝したのはアメリカだった。その表彰式を見て、慶應大のクルーは大きな衝撃を受けた。佐々木が話す。
「イェールの学生は表彰台でフラフラな状態で立ち上がることができない。肉体的にも精神的にも極限状態になったローアウトです。私たちはあそこまでフラフラになるまで漕ぐことはなかった。これが欧米のトップ選手との差なのだろうと痛感し、大きな教訓となりました」
【オリンピアンの出身大学1位って、どこ? 福原愛も選んだ「早大トップアスリート入試」の裏側(https://number.bunshun.jp/articles/-/845349)】
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