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19試合19得点! 絶好調の柏・オルンガが「毎試合ゴールできる」3つの理由
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/10/05 20:01
現在J1の得点ランキングで首位(19試合19得点)のオルンガ。柏レイソルは20試合を消化しているが、全38得点の半分をオルンガが決めている
今のオルンガは「川崎Fの大久保嘉人」に似ている
過去、得点王に輝いた選手には必ず良きパートナーがいた。
例えば、02年高原直泰が得点王になった時には中山雅史、藤田俊哉、名波浩がいた。昨年の得点王である仲川輝人とマルコス・ジュニオールは、マテウス、エリキらの働きに加え、2人の個性の相乗効果で得点を重ね、同チームから2人の得点王を輩出するという稀なケースになった。オルンガも江坂、仲間隼斗、横浜FC戦で故障から戦列復帰したクリスティアーノらに支えられている。江坂とは今年、いい絡みが出来ており、クリスティアーノは昨年9つのアシストでオルンガを支えた。
今のオルンガのプレー環境は大久保嘉人が川崎Fで2013年に26得点で得点王を取った時とよく似ている。当時の大久保はペナルティエリアの外にいる時はわりとフラフラして、他選手にゲーム作りを任せていた。「川崎Fでは点を取ることに徹することができた」と大久保は語っていたが、そのおかげで無駄な動きがなくなり、体力を温存することでゴールへの集中力が増し、得点を量産したのだ。オルンガも今、仕事をするための最高の仲間と環境が整っているからこそ、ゴールを取ることに集中できているのだろう。
2位の小林悠(川崎F)とは「8点差」だが……
J1リーグにおけるシーズン最多得点は、98年、中山雅史が挙げた36得点(27試合)だ。オルンガは今、1試合1得点のペースなので、このまま残り全試合に出場し続ければ33試合で33得点を挙げる計算になる。ただ、11月はケニア代表としてアフリカ選手権に出場予定であり、一定期間の離脱が予想される。それでも突然、空砲続きになるとは考えにくい。昨年の京都戦で8ゴールを挙げたように、弾けると大量得点を挙げられる力を持つ。今年はすでに5回、複数得点を決めており、今後も着実に得点を重ねていくだろう。
得点王争いのライバルたちとの差も、かなり開いている。
11得点で得点ランキング2位の小林悠(川崎F)、古橋亨悟(神戸)、マルコス・ジュニオール(横浜FM)、エヴェラウド(鹿島)、10点のレアンドロ・ダミアン(川崎F)、9点の三笘薫(川崎F)らがオルンガを追っているが、なかなか差が縮まらない。
川崎F勢は今後も圧倒的な攻撃力から得点を稼いでいきそうだが、選手を使い分けているので、得点が分散されている。早めに優勝が決まれば得点王を生むためにランキング上位の選手にボールを集める可能性が出てくるかもしれないが、追い上げることはできるか。
古橋は昨年の10得点を超え、ここ4試合で5得点と調子を上げている。これからゴール数を伸ばしてきそうだ。
たぶん、それでもオルンガの優位は変わらないだろう。インパクトはもう十分、あとは記録でその凄さを歴史に刻んでほしい。