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高評価なのに……久保建英をエメリ監督がスタメンに使わない理由とは?
posted2020/10/01 18:30
text by
中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka
photograph by
Getty Images
途中出場からのアピールが続いている。
現地時間9月30日に行なわれたラ・リーガ第4節のビジャレアル対アラベス戦で、久保建英は後半30分から出場した。27日のバルセロナ戦では0対4とリードをされた時間帯に投入され、相手ゴールへ鋭く迫っていった。それだけに、中2日で迎えたアラベス戦ではシーズン初スタメンも予想されたが、4試合連続の途中出場となっている。
短い時間のなかで、「TAKE」はどんなプレーを見せているのか。お馴染みの中西哲生氏に分析してもらおう。
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バルセロナ戦は前半だけで0対4の大差がつきました。アウェイとはいえ追いかける立場でしたから、後半29分からの出場は少し遅いのでは、というのが個人的な印象でした。
プレーは目を引くものでした。
ピッチに立ってすぐにボールを受け、バルセロナの守備陣に存在感を示していきます。右サイドのニアゾーンへ進入して際どいクロスを入れたり、中央でパスを受けてドリブルで持ち込み、左サイドからのクロスに飛び込んだりと、久保が入ったことでボールの動きがスムーズになり、攻撃に鋭さが増していきました。
4点リードのバルセロナからすれば、無理をする必要のない展開です。守備の局面なら不用意なイエローカードを受けない、接触プレーでケガをしない、といったことを考えるものです。しかし、相手側のそうした心理を差し引いても、ビジャレアルのなかでもっとも勇気を持ってボールを持ち出していったのは、チーム最年少の日本人選手だったと言えるはずです。
バルセロナ戦から、2つのプレーに着目します。
わずかなすき間を突いた85分のラストパス
1つ目は85分のラストパスです。中盤の右サイドからドリブルで持ち込み、ペナルティエリア右へ進入したところで相手がダブルチームで寄せてきました。ここで久保は味方にボールをあずけ、ペナルティエリア内から一度出ます。自分で仕掛けることを避けたのではありません。バックステップを踏んで、自分が優位に立てる間合いを作っていました。
リターンパスを受けた久保は、ノーステップでゴール前へパスを通しました。久保とパスを受けた選手の間には3人の相手選手がいましたから、スペースはほとんどありません。わずかなすき間を突いたパスは、冷静かつクレバーなものでした。