令和の野球探訪BACK NUMBER
地方大学からなぜ好選手が続々? サブマリン牧田を育てた監督が期待する「デカいエンジン」
text by
高木遊Yu Takagi
photograph byYu Takagi
posted2020/09/29 10:00
リーグ再開以降、存在感が増す清水陽介。豪快なフォームから繰り出される直球と鋭く落ちるフォークが武器
マンツーマン指導で開花、秋季リーグでも好投
もう4年生。春のリーグ戦も中止となり野球の進路も何も手応えがない。そんな追い詰められる状況になって、自分を捨てて大島監督にすべてを委ね、マンツーマンで指導に当たってもらった。
まずストライクを入れようとしすぎると、体の開きが早くなったり上体が潰れてしまうことがあったため、位置エネルギーを高く持ってなるべく沈み込まないようにした。また、力を入れすぎるのではなく体全体を使って投げるようにした。
一方で小さく纏まるのを嫌う大島監督は走者無しでのセットポジションでの投球は禁じ、「観客を楽しませるスポーツなんだから」とワインドアップかノーワインドアップで大きく投げるようにも伝えたという。
すると、様々な歯車が噛み合うようになり、8月のエキシビショントーナメントで決勝戦の1失点完投勝利など好投を見せ、27日の東京農業大(東都)とのオープン戦ではスカウトが視察に訪れる中で自己最速となる149キロを計測して自信を深めた。そして9月に開幕した秋季リーグ戦でも2試合に先発して11回を2失点12奪三振と結果を残し始めてきている。
「観客を楽しませるような投手に」
進路志望はプロ一本。「観客を楽しませるような、それこそスタンディングオベーションされるような投手になりたいです」と意気込む。鍛え上げられた体格と150キロに迫る投球をし始めたことで8月以降、複数のNPB球団のスカウトも清水目的で視察に訪れ始めている。
残るアピール機会は限られているが、大島監督は「打力のある上位校に対して、持っている力以上を出そうとするのではなく、普段やっていることを出して欲しいです」と期待をかけている。
また1人、観衆を沸かす大器が関甲新からNPBへと羽ばたいていくのか。夢舞台への切符を掴むべく、清水は豪快に腕を振り続ける。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。