令和の野球探訪BACK NUMBER
地方大学からなぜ好選手が続々? サブマリン牧田を育てた監督が期待する「デカいエンジン」
posted2020/09/29 10:00
text by
高木遊Yu Takagi
photograph by
Yu Takagi
186センチ95キロという筋骨隆々の体格。トルネード気味に足を高く上げ、大きなテイクバックを取って力強い球を投げ込む。マウンドではメジャーリーガーさながらの雰囲気を醸し出している。
清水陽介、今秋のドラフト候補の1人だ。
籍を置く平成国際大学のユニフォームが、1stはレッドソックスを彷彿させるデザイン(スクールカラーの1つである朱色を基調)、2ndはヤンキースに似たデザインということも少なからず関係あるかもしれないが、日本球界には希少な「豪快」という言葉がよく似合う投手だ。
自己最速は150キロ。変化球は、大島義晴監督が「良い時は大魔神(佐々木主浩)のよう」と評するフォーク、そしてスライダーがある。今秋のドラフト候補にも挙げられるが、昨季までの3年間で公式戦勝利はなく、大学3年時は登板すら果たせなかった。それでも大島監督は「平成国際大で見た投手の中で“エンジン”は一番ですね。佐野泰雄(西武)より1ランクも2ランクも上ですよ」と太鼓判を押す。
サブマリン牧田を育てた大島監督
大島監督は関東学園大で指揮を執った後、平成国際大が「関甲新学生野球連盟」に加盟した1997年に29歳で監督に就任。それ以来、無名の高校生たちを4年間かけて一人前に育て、または一人前になる土台作りをサポートしてきた。
過去に輩出した選手を見てみたい。
メジャーリーグでもプレーしたサブマリン・牧田和久(現・楽天)には、変化球を投げさせなかった。「変化球を覚えるのは社会人になってからでいい」と割り切り、まずは脇の下の高さと膝の高さ、このストライクゾーンの高低に、地を這うようなストレートと浮き上がるストレートを投げ分けることを求めた。