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『半沢直樹』の強さの理由はどこにある? 銀行員剣士が語る、仕事につながる剣道の精神性
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byHideki Sugiyama
posted2020/09/27 20:00
お話を聞かせてくださった三菱UFJ銀行剣道部の皆さん。左から川村さん、齋藤さん、三浦さん、竹原さん
『半沢直樹』を銀行員から見て
“残心”を銀行員の仕事を重ね合わせたのは竹原さんだった。
「我々の銀行ビジネスはお客さんにご融資をしたら終わりではありません。ご返済いただくまでがバンカーの使命。そこまで定点観測、動態管理をしていく。じゃあご返済いただいたら終わりかというと、それも違う。打突が融資の日にあたるとすれば、そこで決して気を抜かない。その次に何が必要かをお客さんと一緒になって考えて行くことがまさに銀行員業務です。それって残心の考え方に似ていると思うんです」
残心も『半沢直樹』に登場した剣道ワードの1つ。今回話を聞いた4人はみなドラマを見ていたが、その内容を剣士目線でも、銀行員目線でも楽しんでいるようだった。
最後に三浦さんが言った。
「ドラマには誇張された面白さもありますが、熱くなる部分、お客さんのために熱く語る部分などは共感できます。ああいう思いを内に秘めて、自分も、他の行員も仕事をしていますし、その情熱がないと法人営業は成り立たない。できないと思います」
テレビカメラは回っていない。何の変哲もない会議室のインタビューで放たれたその言葉は、練り上げられたセリフのようにドラマチックな響きがあった。そのプライドを抱いて彼らはバンカーとして働き、竹刀を振っている。現実の世界でもそれは誇張ではない。
そうだった。
冒頭で剣道経験のある経済人の名を挙げたが、もうひとり大事な人物を忘れていた。
三菱UFJ銀行の現在の頭取、三毛兼承も慶大剣道部の出身。メガバンクのトップに立つその人もまた剣士なのだった。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。