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「ライバルチームを弱体化させる選手獲得はしていない」バイエルン会長が明かす“PSGとの関係”
text by
アレクシス・メヌーゲAlexis Menuge
photograph byAlainMounic/L’Équipe
posted2020/09/23 08:00
常勝軍団バイエルンを率いる、カールハインツ・ルンメニゲ会長のロングインタビュー。
「開幕(ブンデスリーガは9月18日を予定)が少し早すぎると思う。いずれにせよ今年のうちには戻ってきて欲しい。スタンドにサポーターの姿がなく、貴賓席にもたった15人しか座っていないのは普通ではない。私たちはそんなことは望んでいないが、今はその条件で試合を行うのを容認するしかない。
ただ、選手や監督にとっては、試合ができるのはとてもいいことだ。審判にしても、大観衆を前にするより無人のスタジアムで笛を吹く方が判定に集中できる」
若手がPSGに引き抜かれることはあり得る?
――PSGの育成出身で将来を嘱望されていたタンギ・クアシ(18歳)がバイエルンと4年契約を結びました(註:クアシは昨季、アマチュアながら公式戦15試合<うち2試合がCL>に出場。初めてのプロ契約を結ぶはずだった今季は、チアゴ・シウバの後継者として期待されていたが本人がPSGとの契約を望まず、多くのクラブが獲得競争に参加するなかバイエルン行きを決めた)。どうやって彼を説得しましたか?
「バイエルンは、これまでライバルチームを弱体化させるために選手を獲得したことは一度もない。PSGとの関係も極めて良好だしナスル・アルケライフィ会長を尊敬している。彼は自身のプロジェクトに十分な資金を投入し、大きな成果をあげている。また、スポーツディレクターのレオナルドともいい関係を築いている。バイエルンで同じ職にあるハサン・サリハミジッチが定期的にコンタクトをとっているからね。
タンギ・クアシについては、多くのクラブが大金をかけて獲得を狙っていたが、とりわけRBライプツィヒが熱心だった。また彼が、PSGとの契約を望んでいないという情報も得ていた。クアシのような才能が、国外でキャリアを築きたいと願ったのであれば、バイエルンがその対象となるのは極めて合理的といえる」
――では逆のケースで、バイエルンの若手がPSGに引き抜かれることもあり得るのでしょうか?
「理論的にはそれもありだ。われわれの目的は最高のタレントを確保し続けることで、それはPSGも同じだ。ただ、若い選手が、どんなキャリアを将来に向け思い描いているかまでは分からない。クラブの意向だけでは決められないからね」
【後編(https://number.bunshun.jp/articles/-/845075)へ続く】