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バイエルンなどブンデスクラブが考える、暑さ対策と子供たちの燃え尽き防止策って?
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2020/09/06 09:00
欧州王者になったバイエルンの育成組織は、夏のサッカー対策を綿密にとっている。
「年に2度は心身のメンテナンスを」
バーンアウト=燃え尽き症候群というのは、そうしたメカニズムで起きる。
疲れやストレスがたまっていても、自分は大丈夫、普通にやれている、燃え尽きたりはしないと思ってしまう。ところが、気がつくと普段は何でもないことでイライラしたり、悲しくなったり、やる気が途絶えてしまったりする。そんなことはないだろうか?
それは、体や心、頭が発しているサインなのだ。
「毎日の生活の中でリラックスできる時間を十分に取るとか、リフレッシュできる趣味を持つことが大切なのは言うまでもありません。そのうえで、年に2度はじっくりと体と心と頭をメンテナンスするまとまった時間が必要です。私たち人間は、日常生活の中でそれぐらい疲れをため込んでいるのです。それをほぐしてあげてください」
意識してコンディションに気を配る。
日本で働いている方々は、まとまった休みを取ることはなかなか難しく、「そんなこと言っていられない」という事情があるのは重々承知している。だが家族との時間、自分の時間、友だちとの時間を作り、今を見つめ直す機会を持つことは、すごく大事だ。自分のコンディションに意識的に気を配る時期を持つことに意味がある。
と同時に、休もうと思えば休める子供たちに対しては、休む大切さをしっかりと伝えてほしいと思う。
こんな話をすると、「夏休みは“追い込み期”でしょ。私は昔もっとやっていたよ」という返しをよく受ける。あるいは「自粛中に休んでいたんだから。問題ないじゃないか」というのも一理ありそうな響きがする。
でも、だ。
自分でスケジュールを立てて、いろいろなことに挑戦したり、探求したりできる時間と、自由に動くこともできなかった自粛期間は同じではない。運動しようにもできない時期が長かったら、時間をかけてじっくりと元に戻す時期が必要だ。