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バイエルンなどブンデスクラブが考える、暑さ対策と子供たちの燃え尽き防止策って?
posted2020/09/06 09:00
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Getty Images
今年は新型コロナウイルスの影響で学校は通常の活動ができず、夏休みが短縮された地域が少なくない。日本では10日前後だったところもあると聞く。
しかし、そんな短い夏休みでさえ十分に休めなかった子どもたちも少なくないようだ。親しい指導者によると、部活動やクラブの練習、試合がみっちり入っていたところが結構あったようだ。もちろん、コロナの影響で自粛期間が長く、部活動ができていなかったという理由もあるだろう。例年と比較して仕上がり具合が不十分というのは理解できる。
でも、それをこの夏、今年だけで取り返そうというのはムリではないだろうか。
これは部活だけの話ではなく、学校のカリキュラムにしても同様だろう。
歴史的にみても、世界的にみても、だれも予想できなかった事態に巻き込まれている。だから、もっと長期的な視野でリカバリーを進めていくべきではないだろうか。子供たちの成長、そして現場の指導者や先生方の負担を考えても、その方がメリットがあるはずだ。
秋が年度始まりの欧州だと、夏休みは学年をまたぐ時期にあるから休みを取りやすい、と解釈する人がいる。
だったら、日本は学年をまたぐ春休みに十分な休みを取っているかというと、別にそのような傾向があるわけではない。もちろん、日本と欧州とでは生活習慣から一般常識まで異なる価値観がある点は考慮しなければならない。
ボーフム大学教授が語る休暇の必要性。
休みの過ごし方を考えるうえで参考になる話を紹介したい。
僕も参加した2017年7月に開催されたドイツ国際コーチ会議で、ボーフム大学心理学部のミヒャエル・ケルマン教授は次のように語っていた。
「長期休暇は必須です。それは子どもだけではなく、大人にとっても大切です。1年間に最低2度は2週間ほどの休みを取ることが必要と考えられています。
私たちは日常生活の中で様々な負荷やストレスを受けています。それらが多ければ多いほど回復に要する時間も長くなります。そして回復が追いつかないほど負荷やストレスが積み重なってしまうと、心も体も頭も、そこから先へ進めなくなってしまう。これは誰にでも起こってしまうことなのです」