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西岡良仁、マリーと4時間39分の大激戦。本人が冷徹に振り返る敗因を財産に。
posted2020/09/03 17:00
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph by
Getty Images
アンディ・マリーとの対戦が決まると、西岡良仁はツイッターにこう書き込んだ。
「これでBIG4と呼ばれる方々と全員対戦出来た!」(原文ママ)
2018年全米でロジャー・フェデラーと対戦。今季はATPカップでラファエル・ナダルと、また全豪の3回戦ではノバク・ジョコビッチと、ともに2度目の対戦を果たした。トップ選手との対戦が増えたのは、自身がトーナメントで勝ち進むことが増えたからだ。マリーとの初対戦を喜んだのは、挑戦者の血が騒いだのと、経験値の積み上げを期待したからだろう。
これまでに5回あったBIG4との対戦では、勝つどころか、セットも奪えなかった。しかし、この日はマリーから立ち上がりの2セットを連取した。セットカウント2-1からの第4セットには、相手のサービスゲームではあったがマッチポイントも一度あった。
逆転負けに終わったが、これは2セットダウンから死力を尽くして追い上げたマリーの手柄だ。手術した股関節を再び痛めたマリーは昨年11月にツアーを離脱、今年の全豪も欠場したが、その執念とガッツはさすが元世界ランキング1位と思わせた。
紙一重の試合に「消極的な部分」が?
「紙一重の試合だった。こんなテニスができるとは思っていなかった」
試合後、西岡の表情に浮かんでいたのは、惜敗の悔しさよりも充実感だった。
ただ、敗因となると、西岡は冷徹な視線で自身のプレーを分析した。マリーの気迫と粘り強さを認めた上で、試合終盤の自身のプレーに「消極的な部分」があったと明かした。
そうだろうか。第三者には、あのプレーから、消極さはなかなか読み取れないのだが……。試合展開を振り返り、西岡の分析を聞いていこう。