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巨人「築地新球場」計画が頓挫……。
東京ドーム大改修で、“悲願”ならず。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byNanae Suzuki

posted2020/08/14 11:50

巨人「築地新球場」計画が頓挫……。東京ドーム大改修で、“悲願”ならず。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

他球場と同様、上限5000人の観客で試合が行われている東京ドーム。大改修でどのように生まれ変わるか。

スポーツ興行のベースとなるのはチケッティング。

 巨人で言えば満員になればチケットや飲食、グッズ等の販売で1試合約1億5000万円と言われる興行収入の大幅減は避けられない。そうなると球場使用料も負担になるはずである。

 巨人の場合は親会社の読売新聞グループが興行権を握って、チケットや放映権料を一括で巨人から買い上げるシステムとなっている。その中で日本テレビからは地上波を軸にした放映権料を得て、またインターネット配信の「DAZN」とはオフィシャルスポンサーを含め、一説には20億円とも言われる巨額な包括契約を結んでいる。

 こうした放映権ビジネスが読売新聞社の球団経営を安定的に支える柱となっている訳だが、やはりスポーツ興行のベースとなるのはチケッティングで、だからこそ本拠地球場の持つ意味も大きいはずなのである。

一般席で快適に野球を観るための環境を。

 立地の利便性だけでなく、後楽園球場時代から続く巨人の“聖地”としての東京ドームの持つ付加価値は、巨人ファンにとっては代え難いものがある。

 ただ、その一方で仕様が古い東京ドームは通路が狭く、階段の段差が低くて観戦しにくいという声もファンからは多く聞く。やはり野球ファンが求めるのは、野球を楽しむためのボールパークということなのである。

 多目的ドームで野球を観るという東京ドームの一昔前の時代感は、大きく変化してきているということなのである。

 新球場計画が頓挫し、コロナ禍に襲われる中での今回の東京ドーム大改修では、まずは感染対策を含めた安全面に大きく力を注ぐことがポイントとなる。

 ただ、もう1つのポイントは、どこまで一般席で快適に野球を観るための環境を作り出せるかではないだろうか。

 そのためにはビジョンの大型化だけでなく、ファンがいかに野球を観やすい球場施設に作り変えられるか。

 そのための環整作りがポイントになるはずだ。老朽化した東京ドームでどこまでそれが実現できるかが、今後の人気球団・巨人の命運を握ることになるのかもしれない。

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