プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人「築地新球場」計画が頓挫……。
東京ドーム大改修で、“悲願”ならず。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2020/08/14 11:50
他球場と同様、上限5000人の観客で試合が行われている東京ドーム。大改修でどのように生まれ変わるか。
マツダスタジアムの成功例。
1988年に開場し今年で開場32年を迎えた東京ドームは、すでに旧式な野球場となってしまった感は否めない。
内部気圧を0.3%高くしてガラスクロスの表面をフッ素樹脂でコーティングした天井を持ち上げる構造は、米・ミネアポリスにあったメトロドームをお手本にしている。
しかし本家は降雪による天井の破損などもあり、開場32年が経った'14年には取り壊しとなった。気象環境などの違いはあるが、当初から東京ドームの耐用年数も約30年といわれていて、巨人の本拠地問題は長らくの懸案事項でもあった訳だ。
近年メジャーで主流となっているのは野球専用の、いわゆるボールパーク型スタジアムだ。日本では'09年に開場したマツダスタジアムが、成功例として挙げられるだろう。
自前の球場建設は読売新聞グループの悲願だった。
またDeNAの本拠地・横浜スタジアムは、東京ドームのより10年も古い1978年の開場。楽天の本拠地・楽天生命パーク宮城球場(旧宮城球場)に至っては、1950年とすでに開場70年の年月が経って老朽化したスタジアムでもある。
しかしそれぞれ球団が球場を買収して経営権を手にしたことで、改修や増築に着手。座席間隔を広げてゆったりと観戦できる野球専用球場としてボールパーク化を推進してきたことで、集客へと結びつける結果となっている。
こうして球場運営を含めたプロ野球ビジネスの包括化が主流となる中で、自前の球場建設は巨人とその親会社である読売新聞グループにとっても悲願だった。
当初は現在の二軍施設がある川崎市多摩区のよみうりランド周辺を再開発して、球場と一体化したレジャー施設の建設などの構想があった。しかし最大の問題はアクセスの利便性だった。