プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人「築地新球場」計画が頓挫……。
東京ドーム大改修で、“悲願”ならず。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2020/08/14 11:50
他球場と同様、上限5000人の観客で試合が行われている東京ドーム。大改修でどのように生まれ変わるか。
ジャイアンツ球場はアクセス面に問題が。
2019年の巨人主催試合全71試合の総入場者数は302万7682人で、そのうち京セラドームを含む地方主催試合7試合の入場者数は15万5181人。東京ドームだけでは287万2501人、1試合平均で4万4883人を動員した計算になる。
入場者数が実数発表となった'05年以降、ほぼ同水準の動員を維持し、近年はむしろ客席の増設などもあり緩い右肩上がりの動員を維持している。
試合終了と同時にそれだけの人数が動き、それを捌けるアクセスの確保は、球場立地の必要最低条件で、その点では東京のど真ん中に位置してJRと都営地下鉄三田線・水道橋駅と東京メトロ丸の内線・後楽園駅の3駅に近接している東京ドームの利便性は抜きんでたものと言えるだろう。
ジャイアンツ球場は京王線の京王よみうりランド駅の他には近接の鉄道駅もなく、車の利用でも周辺道路が狭く一本道しかない。行楽シーズンはよみうりランドを訪れる客だけでも大渋滞となるなど、アクセス面の問題から断念せざるを得なかった。
築地新球場計画が頓挫してしまった。
そして最も現実味のある候補地として浮上したのが、東京中央卸売市場の豊洲移転による跡地を利用した築地新球場計画だった。
築地は東京メトロ日比谷線と都営大江戸線の駅が近接し新橋、銀座、有楽町から徒歩圏とアクセス条件は整っている。
しかも親会社の読売新聞社にとって最大の魅力は、築地市場が宿敵・朝日新聞の東京本社の目の前にあるということ。そこに読売グループの象徴である巨人の本拠地球場を建てる計画は、実際問題としてかなり具体的に進んでいた。しかし'16年の小池百合子東京都知事の就任で流れが一変してしまった。
同知事は築地市場跡地には「食のテーマパーク機能を有する新たな場とする」という計画を掲げ、跡地問題は一気に振り出しに戻った。そうして巨人の築地新球場構想も宙ぶらりんのままに頓挫してしまったのである。