濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
RIZIN、クラファンで興行再開!
窮地で爆発した、選手とファンの底力。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by(C)RIZIN FF SUSUMU NAGAO
posted2020/08/17 07:00
テクニカルかつ威力抜群の打撃で扇久保博正に完勝した朝倉海。念願のベルト奪取で2DAYS興行を締め括った。
予想していた以上に中身が濃かった2日間。
一本、KOが多かったこともあり(判定決着は2日間・18試合で3つしかなかった)、大会を見た印象は“これくらいしかできない”ではなく“ここまでできる”だった。
日本人対決には出世争い、生き残りをかけた潰し合いというシビアな要素もある。久しぶりの実戦という面も含め、選手たちのモチベーションは総じて高かったようだ。前女子王者の浜崎朱加のように「こんな時期だからこそ」と出場を望んだ選手もいた。
2日目のメイン、すなわち大トリとなるバンタム級王座決定戦ではライジングスターである朝倉海が紆余曲折を経て這い上がってきた実力者・扇久保博正にTKO勝利。海が圧倒的と言うしかない強さを見せつけたことで、昨年夏以来となる堀口恭司との再戦がさらにバリューを増した。この“メガリマッチ”は大晦日に行なわれる模様だ。
新しいスタイルでの興行に手応えアリ!
海だけでなく浜崎にホベルト・サトシ・ソウザ、元谷友貴といった上位陣があらためて力量を示し、一方で修斗王者の斎藤裕、神龍誠、井上たちは“RIZINファイター”として名を上げた。結果として、この2日間・18試合はRIZINにとって大きなプラスだったと言えるのではないか。
誰もが、試合ができること自体に特別な喜びを感じていた。顔を売るため、あるいは生き残るために必死だった選手も多い。
運営サイドにとっては、限定条件のもとでの“総力戦”。そこでもたらされたのは日本勢の底上げだ。いつになるかは分からないが、次に彼らが“世界”と対峙する日がより楽しみになった。
そしてクラウドファンディングに参加し、会場もしくは配信で大会を見たファンは、今まで以上にRIZINを深く愛するようになったはずだ。