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橋下徹も気にする話題? 開場10分前の中止の裏側。~格闘技界のコロナ対策は今~

posted2020/09/10 18:00

 
橋下徹も気にする話題? 開場10分前の中止の裏側。~格闘技界のコロナ対策は今~<Number Web> photograph by KYODO

橋下徹氏も持論を展開するなど、コロナ下でのイベント開催の方策は、格闘技の枠にとどまらない関心事でもある。

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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 ついに格闘技界でも起こってしまったか。第一報を耳にした時、思わず唇を噛んだ。8月23日、パンクラスは開場10分前になってから大会中止を発表した。大会当日に行った抗原検査で出場予定だった選手1名から新型コロナウイルスの陽性反応が出たことが原因だった。

 この日、パンクラス東京大会でプロデビュー戦を迎える予定だったある選手は、会場に入るとアップに励んでいた。突如控室にやってきた関係者から「選手にコロナ感染者が出たので、大会は中止になりました。すみやかに退出してください」と通達されても、状況はすぐ把握できなかったという。理解できたのは荷物をまとめ、会場の外に出てからのことだった。悔し涙が溢れ出た。

 大会中止の報を受け、政治評論家の橋下徹氏はSNSで「試合を中止にするのではなく、陽性になった選手を除いて試合を開催する方向性で政治がメッセージを発すべき」と発言。中止の余波は広がる一方だった。

「コロナを正しく恐れたい」

 実際のところはどうだったのか。パンクラスの裏方を一手に引き受ける坂本靖興行本部長に「中止を決断するまでに躊躇したのか?」と単刀直入に聞いてみる。答えは否だった。

「感染者が出たら中止と社内のガイドラインで決めていたことなので、代表の酒井(正和)は即決断しました」

 そういうガイドラインを作成した理由は?「クラスターを出せば、社会に不安を与えることになるからです」

 パンクラスは出場選手に大会7日前と当日に抗体検査を受けることを義務づけている。後者で陽性となった場合、ただちに抗原検査を実施し、それでも陽性だった場合は欠場となる。今回はまさにそうだった。

 ただ、今後も同じ対応を繰り返していると興行会社としては厳しくなるが、坂本氏は「コロナに対する次なる一手は考えている」と胸を張る。

「コロナを正しく恐れたい。今後は会場入口にテントを張り、選手が陰性と判明してから会場入りしてもらう方法を検討中。この方法なら会場内に感染した選手が入ることはない。その選手の試合はなくなったとしても、大会を中止にしなくて済む」

 大会をやるやらないではなく、二重三重に網を張ることで感染した選手を会場に入れない。発想を変えることで、格闘技界におけるコロナ対策は次のフェーズに移行したのか。

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