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西武リリーフ陣の安定感はどこから?
ブルペン事情を豊田コーチに聞いた。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byHideki Sugiyama
posted2020/08/06 11:50
15試合に登板し防御率0.59と、ここまで抜群の安定感を誇るギャレット。豊田コーチは「選択肢」が増えたことを好調の要因と語った。
四死球が劇的に減った森脇。
ビハインドの場面で投げることが多いプロ入り2年目の森脇亮介は、8月3日現在、11試合に投げて防御率1.59と中継ぎ投手陣の中でも目立った健闘を見せている。特に制球がよく、昨年、シーズントータルで23個も与えていた四死球が、今年は3個と劇的に減った。
「森脇に関しては、どの球種も一通り、よいところに投げられるので、勝ちパターンのときに登板するようになるまで『もう一歩』というところですね。ただ、焦らずに、1年間かけてじっくりと声をかけていこうと思っています」(豊田コーチ)
終盤までに1人でも多くの投手を、僅差で送り出すことができる状況に整えるのがブルペンの仕事だと話す。
「今はまだ失敗も多いのですが、そこは普段から西口さんとコミュニケーションを密にとって、『今シーズンの終盤には、しっかりとリリーフ陣を形成できるように』と考えてがんばっているところです。自分が現役時代にリリーフをした経験、そしてコーチとしていろいろなブルペンを見させてもらってきた経験は日々、さまざまなタイミングで伝えています。
今10人、一軍にはリリーフの投手がいるんですけど、各々で立場も違えば経験の多さも違うので、10人それぞれにかける言葉は全く違います。性格によっても言葉使いに気を付けなければいけないので難しいですね」(豊田コーチ)
「継続して根気よく伝えていく」
現役時代の豊田は、自分がリリーフに失敗し、チームが敗れると、ベンチの後ろで大暴れし、悔しさを全面に出すピッチャーだった。当時に比べれば、昨今のプロ野球選手は穏やかで、おとなしい印象を受ける。
「まぁ、その辺りは、ちょっと持ち上げたり、厳しい言葉を使ったりと、その選手に合った方法を考えています。それが、うまくいってるのかどうか、今はまだわかりませんが……(苦笑)。でも、そういった指導は、すぐに効果が表れるものではなく、1年間通してやっていかなければならない作業だと思っています。僕のリリーフ論というか、やってきたことを、継続して根気よく伝えていくことが大事です」(豊田コーチ)
コロナ禍による過密日程などにより、本当に苦しい戦いが訪れるであろうシーズン終盤、1人でも多くのピッチャーが相手の打者を抑えてくれることがピッチングコーチの願いだ。