酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
涌井秀章、菅野智之、石川柊太の
「1安打完封」を、もっと称えたい。
posted2020/08/06 15:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kyodo News(L)/Kiichi Matsumoto(R)
ここ2週間、NumberWebの「週刊セパ好成績&珍記録まとめ」で取り上げた選手が、翌週大活躍するというめぐりあわせになっている。前々週、巨人ウィーラーを取り上げると翌週には週間の首位打者に。そして前週取り上げた楽天の涌井秀章が、5日のソフトバンク戦でもうちょっとでノーヒットノーランの1安打完封勝利を挙げたのだ。
8回まで高谷裕亮と明石健志に四球を与えただけの無安打。9回は代打の松田宣浩を三振に打ち取るも、代打川島慶三に2ストライク2ボールから中前打を許した。
筆者が涌井秀章をすごいと思ったのは、続く今宮健太、柳田悠岐を連続三振に切って取ったことだ。ノーヒットノーランの緊張が途切れて、冷静な気持ちのままマウンドに立ち続けられる投手はいないだろう。崩れ落ちそうになりながらも今宮、そしてリーグ最強打者ともいうべき柳田をともに空振り三振で退けた。あっぱれとしか言いようがない。
それにしても惜しかった! もし川島に安打を許さなかったら、東北楽天ゴールデンイーグルス16シーズンの歴史で最初の「ノーヒットノーラン」だった。
20勝投手の岩隈久志も田中将大も成し遂げていない大記録を、移籍1年目の34歳のベテランが達成していたはずなのだ。
楽天の1安打完封は通算4度目。
涌井の完封勝利はこれで13回目。1安打完封は西武時代の2010年5月7日のソフトバンク戦以来、10年ぶり2回目。涌井はこれで防御率も1位に躍り出た。
楽天投手の完封勝利は、2005年の創設以来これで57回目(コールドゲーム1試合含む)。今季は涌井が初めて。球団最多は、田中将大18回、続いて則本昂大11回、永井怜7回、岩隈久志4回の順となっている。1安打完封はこれで4回目である。
2009年8月5日 オリックス戦
藤原紘通
9回1被安打2奪三振0与四球 自責点0
2014年8月15日 ロッテ戦
則本昂大
9回1被安打9奪三振0与四球 自責点0
2018年5月12日 ロッテ戦
則本昂大
9回1被安打9奪三振0与四球 自責点0
2020年8月5日 ソフトバンク戦
涌井秀章
9回1被安打8奪三振2与四球 自責点0