熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
ポルト2冠も“消えた”中島翔哉。
名門1年目の苦境、来季はどうなる。
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byMutsu Kawamori/AFLO
posted2020/08/04 11:30
UEFAヨーロッパリーグでベンチ入りするなど、実力自体は認められているはず。中島翔哉とポルトはわだかまりを解消して来季に繋げられるか。
中島は一体どうすればよかったのか。
とはいえ、今回のコロナ禍で中島に同情すべき点はあるだろう。長女が誕生した際、中島は「出産は女性にとって命懸けの大変な作業」と夫人を労り、「自分は家族が一番大事。それ以上に大切なものはない」と語っていたことがある。
家族思いの中島にとって、ウイルス感染が完全に収まっていない状況でチーム練習に参加しないことは、当然の選択だったのかもしれない。
その一方で、監督やチームメイトが中島の行動を良しとしなかったことも理解できる。
では、中島は一体どうすればよかったのか。
チーム練習に参加しない理由が「健康に問題がある妻と幼い娘の世話をするため」であったのなら、中島の周辺スタッフが彼に対して練習に集中できる環境を用意すべきだったように感じる。
ポルトガルにおける新型コロナウイルスの感染状況は、日本よりは悪いものの欧州では軽い方だ。それゆえ、欧州ではドイツに続いて2番目に早くリーグが再開された。また、欧州CLの準々決勝以降の全試合が8月にリスボンで集中開催されるのも、それを示している。
お手伝いさんが帰国してしまい、コロナ禍で新たに代わりの人を連れてくるのは難しかったとしても、欧州在住の日本人や英語を話せるポルトガル人のお手伝いさんを探すという選択肢はあったのではないか。
チームリーダーと気心が通じていれば。
代理人らはポルト関係者と頻繁に意見を交換し、練習への不参加が続いたらどのような事態が起こりうるかを察知し、それを中島に伝えておくべきではなかったか。
また、中島も言葉の問題などから、シーズン当初からチームにうまく溶け込めていなかったのかもしれない。仮にキャプテンのMFダニーロ、守備の重鎮CBペペらチームリーダーと気心が通じていたら、手違いがあってもチームで孤立することは避けられたのではないか。
もちろん、中島がチーム練習に参加することで自身が新型コロナウイルスに感染し、ウイルスを自宅へ持ち帰ることを懸念したのならば、解決方法はなかったのかもしれないが……。