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ポルト2冠も“消えた”中島翔哉。
名門1年目の苦境、来季はどうなる。 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph byMutsu Kawamori/AFLO

posted2020/08/04 11:30

ポルト2冠も“消えた”中島翔哉。名門1年目の苦境、来季はどうなる。<Number Web> photograph by Mutsu Kawamori/AFLO

UEFAヨーロッパリーグでベンチ入りするなど、実力自体は認められているはず。中島翔哉とポルトはわだかまりを解消して来季に繋げられるか。

リーグ戦の半分には出場している。

 今季の中島の成績は以下の通りである。

 リーグ:34試合中16試合出場0得点1アシスト
 ポルトガル杯:4試合出場1得点0アシスト
 EL:4試合出場0得点0アシスト
 リーグ杯:3試合0得点2アシスト
 CL予選:1試合出場0得点0アシスト

 チームが戦った56試合のちょうど半分の28試合に出場して、1得点3アシストだった。ただ、6月3日のシーズン再開後、チームにとって極めて重要な終盤の11試合でいずれもベンチ外。クラブの期待に応えたとは言いがたい。

 さて今後、中島はどうなるのか。

 地元メディアは「コンセイソン監督の性格からして、来季、中島を戦力とみなすかどうかは疑問」として「クラブはできれば売却して投資を回収したいようだが、それは容易ではない」と伝える。

 ドイツの移籍情報サイト「Transfermarkt」によれば、中島の市場価値は2017年8月にFC東京からポルティモネンセへ移籍した時点で35万ユーロ(約4363万円)だったが、ポルティモネンセでの大ブレイクで2019年1月には1800万ユーロ(約22億4406万円)、アル・ドゥハイル移籍後の2019月5月には2500万ユーロ(約31億1675万円)まで高騰した。

 しかし今年4月にはコロナ禍の影響もあって1600万ユーロ(19億9472万円)まで落ちており、その後、さらに下落しているとみられる。

厳しい状況だが鬱憤を晴らせるか。

 現在の中島にしかるべきクラブから好条件のオファーが舞い込むとは考えにくい。ポルトが投資した金額にこだわらず売却しない限り、他クラブへ期限付き移籍するか、ポルトに残留する可能性が高そうだ。

 期限付き移籍の場合、移籍先はポルトより格下のクラブとなる公算が高い。残留するならば、監督やチームメイトらと歩み寄り、心機一転してやり直すしかあるまい。最悪のシナリオは、残留したが全くプレー機会が与えられない状況だろう。

 いずれにせよ、中島は極めて厳しい状況に立たされている。

 とはいえキャリアの中での浮き沈みは、選手なら誰もが経験すること。今年3月を最後に公式戦でプレーしていないとはいえ、中島自身が深刻な故障を抱えているわけではない。

 8月23日、中島は26歳になる。年齢的にはこれからキャリアのピークを迎えるべき時期に差しかかる。

 今後の去就については当面、クラブ側の出方を待つしかない。それでも来季、どこでプレーすることになろうと、中島には今季の鬱憤を晴らすような獅子奮迅の活躍を演じ、キャリア最高のシーズンを送ってもらいたい。

 それは日本の多くのファンの、さらには日本代表・森保一監督の願いでもあるはずだ。

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