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ポルト2冠も“消えた”中島翔哉。
名門1年目の苦境、来季はどうなる。 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph byMutsu Kawamori/AFLO

posted2020/08/04 11:30

ポルト2冠も“消えた”中島翔哉。名門1年目の苦境、来季はどうなる。<Number Web> photograph by Mutsu Kawamori/AFLO

UEFAヨーロッパリーグでベンチ入りするなど、実力自体は認められているはず。中島翔哉とポルトはわだかまりを解消して来季に繋げられるか。

練習再開も自宅トレーニングを選択。

 ここで、クラブと中島にとってのターニングポイントがあった。5月中旬以降、中島は練習場に姿を現わさなくなったのだ。

 中島の代理人は「ウイルス感染を怖れて、中島の家族をサポートしていた日本人のお手伝いさんたちが帰国してしまった。夫人は幼い娘の世話で忙しく、しかも体調を崩したことから、中島は家族の面倒を見ながら自宅でトレーニングすることを選択した」と説明している。

 これに対してポルトの強化部長は「私は中島と彼の代理人、クラブのドクターとリモートで話し合ったが、練習参加を拒んだ」と言明。「言葉の問題や文化の違いがあるのかもしれないが、ポルティモネンセの日本人選手(GK権田修一、SB安西幸輝ら)はチーム練習に参加している」と首を傾げた。

 リーグ再開の前日、コンセイソン監督も「中島はチームにいない。彼の問題は、クラブ上層部に解決を委ねた」と険しい表情で語った。また地元メディアは「監督、チームメイトを含むクラブ関係者は、中島が練習参加を拒んだことをチームに対する裏切り行為とみなしたようだ」と伝えている。

地元メディアは中島に厳しい論調。

 リーグ再開時点で、ポルトは宿敵ベンフィカに勝ち点1差の首位。再開後の初戦で敗れ、ベンフィカが引き分けたため、勝ち点で並ばれた。しかしシーズン中断中の猛練習の甲斐もあって、以後は豊富な運動量で勝利を重ねると、ベンフィカが第28節から2連敗したことで勝ち点差を6に広げた。

 6月末、中島はクラブ関係者に練習に復帰する意思があることを伝え、クラブの練習場で個人練習を始めた。だがその後、中島がチーム練習に加わることはなく、チームはリーグ優勝を達成した。

 コンセイソン監督は、勝因の第一に「チームの団結力」を挙げた。そしてポルトガル杯では1人少ない状況でありながら、ライバルに快勝したのだった。このプロセスにおいて、地元メディアの中島への見立ては以下のように厳しかった。

「チームは“裏切り者”中島を排除して逆に団結力を高め、そのことがタイトル獲得へのプラス材料となった」

【次ページ】 中島は一体どうすればよかったのか。

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