セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
人間臭いユーべ9連覇とサッリ親分。
ビッグイヤーも、獲ったるけえの。
posted2020/08/05 11:50
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
スクデットが決まった瞬間、ユベントスのサッリ監督はグラウンドで歓喜に飛び跳ねる選手たちの輪に加わろうとはせず、彼らに背を向け、一足先にロッカールームへ向かった。
カメラの前で胴上げなんて恥ずかしくて真っ平だが、そのうちロッカーへ引き上げてくる選手たちを自ら迎えて、労ってやりたい。
サッリは照れ屋の親分らしい気配りで1人ひとりとハイタッチし、ハグを交わした。
「ワシなんかと一緒にやって、それでも優勝できたんだから、おまえら、本当にすごいんじゃなあ」
セリエAで9連覇という偉業を達成した選手たちへ漏らした感嘆の言葉は、タイトルの主役は彼らやクラブ組織で自分は脇役だという謙遜であり、“イタリア国内では無冠”という自身への批判への意趣返しでもある。
クアドラドからスプレーで泡まみれにされても破顔一笑の指揮官は、大瓶の発泡ワインをラッパ飲みし、ようやく手にした勝利の一服に目を細めた。
疲労困憊のまま再開するCLへ。
しかし、サッリ親分とイタリア王者のシーズンはまだ終わっていない。
8月12日、ポルトガルで“CLファイナル8トーナメント”が開幕するからだ。
ただし、その前にユーベはリヨンと一戦交える必要がある。
欧州コロナ禍によって大会が中断される前の2月26日、敵地でのベスト16ラウンド1stレグをユベントスは0-1で落とした。
5カ月以上を挟んで迎える今月7日の2戦目では、もちろん準々決勝への逆転突破を狙うが、セリエA全日程を1日に終えたばかりのユベントスは心身ともに疲労困憊だ。
サッリ親分は、緊張の糸が切れたチームが直近の数試合でリラックスし過ぎていたことを認めた。ユーベは、らしからぬことに37節カリアリ戦と最終節のローマ戦で計5失点。連敗でカンピオナートを終えた。