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山小屋支援でベンチャーが存在感。
ヤマップ代表が語る登山の希望と不安。

posted2020/08/05 11:30

 
山小屋支援でベンチャーが存在感。ヤマップ代表が語る登山の希望と不安。<Number Web> photograph by YAMAP

登山者用のアプリを提供するヤマップの代表・春山慶彦さん。元編集者で2013年に起業した。

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千葉弓子

千葉弓子Yumiko Chiba

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YAMAP

 コロナ感染拡大により、観客を動員するスポーツの多くが苦境に立たされている。比較的安全といわれているアウトドアの世界も決して例外ではない。 

 危機に立たされているもののひとつが、山小屋の経営だ。

 例年ならGWから春夏シーズンがスタートし、7月に入ると標高の高い山々も相次いで開山する。ところが今年はまったく様相が異なってしまった。登山道自体が閉鎖された富士山の山小屋をはじめ、南アルプスでも半数以上が年内の営業休止を決めている。

 また八ヶ岳や北アルプスなど営業開始を決めた山小屋でも、コロナウイルス感染防止策として部屋を区切って個室を増やしたり、宿泊人数を大幅に絞ったり、寝具の見直しを行うなど、利益を削りながらも新しい営業方法を模索している。

ヤマップが6000万円、ヤマケイが8000万円

 こうした中、全国の山小屋を支援すべく、新旧2つの山岳メディアがほぼ同時にクラウドファンディングを立ち上げた。創業90年の歴史を持つ山と溪谷社(通称「ヤマケイ」)と、スマートフォンアプリによる地図サービスを提供する創業8年目のYAMAP/ヤマップだ。

 登山業界のベンチャーともいえるヤマップは、電波の届かない山中でも位置情報を確認できる地図アプリを提供する企業。創業8年目を迎えた同社は年々ユーザーを増やし、この春180万ダウンロードを突破している。これまでも地図アプリサービスに始まり、イベント開催やウェブマガジンの運営、登山・キャンプ用品の販売、保険業など少しずつ事業を拡大してきた。 

 6月下旬には、長野県と「登山届情報システムの活用に関する協定」を締結し、アプリを通して「登山届」が提出できるシステムも搭載。年内には山梨、岐阜、富山県まで範囲を広げるべく準備を進めるなど「安全」の面にも、注力を始めている。

 クラウドファンディングでは似た山小屋支援内容を掲げる2社だが、6月末で寄付を締め切ったヤマップは6177万円、現在もプロジェクト進行中のヤマケイは約8300万円(7月31日現在)の支援金を集めている。

 驚くのは、6月末時点では、多くの登山家にとっておなじみの老舗ヤマケイに近い金額を、新興勢力のヤマップが集めたことだ。

 この構図から見えてくるものとは何なのか。ヤマップ代表の春山慶彦さんに話を聞いた。 

【次ページ】 なぜこんなに支援が広がった?

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