スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
短縮シーズンと日程の有利不利。
一番得をしたのはヤンキース?
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2020/07/18 08:00
7月14日、ヤンキースタジアムで行われた紅白戦。審判、捕手、打者が口を覆いながらプレー。
アストロズはラスト22試合のうち16試合がロード。
ドジャースを例にとると、遠くても、ヒューストン(アストロズ)、コロラド(ロッキーズ)、テキサス(レンジャーズ)、シアトル(マリナーズ)といった所に移動すればすむ。
しかもこのうち、昨季の勝率が5割を超えたのはアストロズしかいない。このカードに勝ち越せば、3年前にサイン盗みでワールドチャンピオンを横取りされた鬱憤を晴らすこともできるだろう。
パドレスの場合は、9月の23試合のうち、20試合がカリフォルニア州内で行われるという日程が眼につく。残り3試合もシアトルが会場だから、移動の負担は大きく軽減される。投手陣に若手有望株が少なくないだけに、シーズン終盤に波瀾をもたらす可能性がある。
逆に、終盤の日程がタイトなのは、メッツとアストロズだ。
メッツの場合は、ラスト10試合が3カード連続で昨季のプレーオフ・チームとの対戦だ。ブレーヴスと3試合、レイズと3試合、ナショナルズと4試合。ロードに出るのは最後のカードだけだが、大負けしたり接戦が続いたりするようだと、ポストシーズンへの展望が開けなくなる。
アストロズは、ラスト22試合のうち16試合がロードだ。カリフォルニア→テキサス→シアトル→テキサスという移動は、シーズン終盤だけにこたえるかもしれない。
シーズン前半で見逃したくないカード。
日程面から見た予想は、ざっとこんなところだ。ほかにもさまざまな要因が絡み合うし、選手たちの体力は超人的だから、短縮シーズンはどっちへ転がるかわからない。とりあえず、シーズン前半で見逃したくないカードを挙げておこう。
まずは、開幕戦のヤンキース対ナショナルズ(7月23日)。これは、ゲリット・コールとマックス・シャーザーの投げ合いが見ものだ。そして7月26日のエンジェルス対アスレティックス。約23カ月ぶりにマウンドへ戻る大谷翔平に注目しよう。
8月に入ると、13日にアイオワ州ダイヤーズヴィルで〈フィールド・オブ・ドリームス・ゲーム〉が行われる(カーディナルス対ホワイトソックス)。小説の原作者W・P・キンセラや映画の主役をつとめたケヴィン・コスナーらとともに、かつて「アンラッキー・エイト」と呼ばれたホワイトソックスの選手たちの姿が蘇ることを期待したい。
そして14日から16日にかけては、エンジェルス対ドジャースの3連戦。両チーム合わせて、MVP受賞者が5人(トラウト+プーホルス+ベリンジャー+ベッツ+カーショー)も顔をそろえるのは壮観だ。16日(日曜日)には大谷が先発登板する可能性もある。