ツバメの観察日記BACK NUMBER
ビールの売り子は無言、ヤジに注意。
阪神×ヤクルト、有観客試合観戦記。
text by
長谷川晶一Shoichi Hasegawa
photograph byKYODO,SHOICHI HASEGAWA(in the article)
posted2020/07/16 10:00
阪神の黄色がところどころに目がつく阪神甲子園球場。
「ホテル観戦」もなかなか快適だったが……。
ついに、生で試合が見られる。
この連載でも紹介したけど、6月19日のペナントレース開幕日。僕は神宮球場に隣接する日本青年館ホテルの14階客室から「観戦」した。
これはこれでなかなか快適で、僕は翌週の26日、さらに翌週の7月3日と、立て続けに「ホテル観戦」を経験した。いずれも金曜日、石川雅規の先発だった。
確かに快適ではあったものの、それでも人間の欲というのは限りないものだ。「上空観戦」では飽き足らず、「球場観戦」への渇望は日に日に大きくなってくる。
おそらく、そんな強欲さに対して、野球の神様は「ちょっと落ち着け」と釘を刺す意味で10日の試合を雨天中止としたのだろう。
上限5000名の「有観客試合」のリアル。
大阪梅田駅から甲子園駅までは直通特急で、15分ほどで到着。例年ならば大混雑している試合前の甲子園駅だが、この日は閑散としていた。
球場前のグッズ販売店舗も、弁当売り場も、特に並ばずにスムーズに利用することができる。QRコードによるチケット発券も、まったく並ぶことなくノーストレスで行えた。これが「上限5000名」の現実なのだろう。
球場外周で営業しているグッズ売り場の店頭では近本光司の等身大パネルが微笑んでいる。昨年、村上宗隆と激しい新人王争いを繰り広げた近本に対し、「昨年の活躍、お見事でした。プロ2年目、どうぞ充実したシーズンになりますように」と慈愛に満ちた言葉を投げかける。
その隣には高山俊のパネルもある。ドラフト会議で、当時の真中満監督が獲得した期待の逸材だ。……あっ、獲得してなかった。それでも、ドラフト中継を見ていた一視聴者としては、一瞬だけ「ヤクルト入り」した縁のある選手だ。