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初ヒット一番乗りは中日・石川昂弥。
「佐々木世代(仮)」の現在地は?

posted2020/07/16 11:40

 
初ヒット一番乗りは中日・石川昂弥。「佐々木世代(仮)」の現在地は?<Number Web> photograph by Kyodo News

12日、プロ初ヒットとなる二塁打を放った中日・石川昂弥。

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小西斗真

小西斗真Toma Konishi

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Kyodo News

「東京問題」「東京由来」が懸念される中、プロ野球は7月10日から予定通り、有観客での試合を再開した。上限5000人、距離を保ち、鳴り物は禁じ、応援スタイルも制限された中ではあったが、確かに歓声が戻ってきた。

 いきなり3球場でサヨナラ本塁打が飛び交った。ダヤン・ビシエドが打ったナゴヤドームでは、試合後に京田陽太選手会長があいさつした。

「(前略)オープン戦が無観客で始まり、その後開幕の延期が決まりました。その間、ファンの皆様はステイホームを余儀なくされ、僕たち選手ももう一度体を作り直すことになりました。正直、今年はプロ野球を開幕できないのではないかと気が滅入りそうにもなりました。

 でも、僕はこの状況を恨んだりはしません。それ以上に、今現在も新型コロナと最前線の現場で闘い続ける医療・介護従事者の皆様、開幕に向けて準備してくださったプロ野球関係者の皆様、そして開幕を信じて待ち続けてくれたファンの皆様への感謝の気持ちの方が遥かに強いです(後略)」

 1試合が雨天中止となったため、5球場で開催されたが、選手が直接、観客(ファン)にメッセージを発信したのは中日だけだ。試合結果が最高だったこともあるだろうが、4958人の観客はこうしたシーンにも「プロ野球」を堪能できたに違いない。

石川昂弥の初安打は球史に残る。

 その2日後の12日に、新たな星がデビューした。東邦からドラフト1位で入団した石川昂弥である。昨年の選抜優勝投手は、高橋周平の故障に伴って、急遽昇格。与田剛監督は広島戦に「7番・三塁」で先発起用した。その第1打席で左翼線に二塁打。中日球団で高卒新人野手が初打席で初安打したのは森岡良介(現ヤクルトコーチ)以来。先発初出場での初安打となると、立浪和義以来、実に32年ぶりのことだそうだ。

 打ったのはチェンジアップだが、非凡さを感じさせるのは「真っ直ぐを打とうと思っていて、うまくためられました」という点だ。続く3打席はすべて三振というのも、かえって大物感が漂う。もちろん今季の高卒野手では出場も安打も一番乗り。新型コロナのシーズンで、観客が戻ってきた直後の初安打は球史にも残るといっていい。

【次ページ】 多士済々の「佐々木世代(仮)」

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