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右肘手術から復活のロッテ有吉優樹。
七夕の夜に挙げた679日ぶりの勝利。 

text by

永田遼太郎

永田遼太郎Ryotaro Nagata

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photograph byKyodo News

posted2020/07/18 11:30

右肘手術から復活のロッテ有吉優樹。七夕の夜に挙げた679日ぶりの勝利。<Number Web> photograph by Kyodo News

7日、今季2試合目の登板で679日ぶりの勝利を挙げたロッテ有吉優樹。昨季は手術も経験し、2試合に登板のみに終わっていた。

怪我の功名、フォーム改造に着手。

 有吉には右肘を手術する前から「体の使い方」について考えていたことがあった。

「それまでは身体の変なところが張ったりして、たとえば股関節がおかしいとか、毎回ここだけが張るとかポイントがあったんです」

 だが、’18年は結果も出ていたため迂闊にフォームをいじれなかった。

「それが今回、怪我をしたことで見直すきっかけにはなりました。シーズン中は体重移動の仕方、乗せ方で『ちょっとこれは違うな』と思ってもなかなか変えにくかった。それが今回の怪我で思い切り変えることができた。はたから見たらあまり分からないかもしれないですけど、僕の意識の部分ではだいぶ変わった感じがあります」

 社会人野球時代から有吉の自主トレを見ているトレーナーの片井ジム・田代義人氏によれば、以前の有吉の投球フォームは軸足に重心を乗せる際、しっかりと立つことに意識をおいていた分、体重移動をする際、前へ力を加えないと進んで行かない状態になっていたという。

7日の投球に成果がしっかりと表れていた。

「たとえるなら、座り心地の良いソファーにどっかりと座った感じですよね。そうなると立つときに『ヨイショ』となるじゃないですか。その『ヨイショ』の瞬間に相手打者にもタイミングというかリズムを取られてしまっていたと、彼は言っていたんです」

 そこで2人は動きの中で軸足に乗せた体重を前に押し出す方法を考えた。田代氏は必要なトレーニング方法を伝えて、有吉はそのメニューをリハビリ中にこなした。課題は7月7日の試合ではしっかりクリアされていたという。

 田代氏が続ける。

「(前回の試合は)凄く良かったですね。以前だと体の硬さもあった関係で、踏み出した左足を引きながら上体を前に出すイメージで投げていたんです。加速する部分ではそれでよくても、左膝を引いたところでマイナスの力が働いているので、その分がもったいないというか背中や体に負担がかかっていたと思うんです。

 なので今回は出した膝を引かずに、そのまま乗せるイメージで投げるように変えました。(負担をなくすために)前に押し出す力よりも後ろに抜けていく力をゼロにしようということです。それが(7月7日の試合では)できていた。重心も結果的に前へ乗せることができていたと思うんです」

【次ページ】 「速い」とは言えない。だが、キレはある。

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