球道雑記BACK NUMBER
右肘手術から復活のロッテ有吉優樹。
七夕の夜に挙げた679日ぶりの勝利。
posted2020/07/18 11:30
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
Kyodo News
七夕の夜に願ったのは自身の完全復活か。
7月7日のZOZOマリンスタジアム。千葉ロッテ・有吉優樹が679日ぶりの公式戦勝利を飾った。
昨年4月に右肘のクリーニング手術をしてから一軍ではこの日が2度目の登板。球数は6回で87球。焦ることなく1人ひとりの打者を抑えて、首脳陣の期待に応えてみせた。
「手術してから今までリハビリ担当のPT(Physical Therapist)の方とかに凄く支えてもらっていたので、感謝しながらひとつずつのアウトを獲っていこうと思いました」
印象的だったのは6回表、四球と西武・外崎修汰の適時二塁打で1点リードに詰め寄られた直後の投球だ。2018年8月28日以来、約1年10カ月ぶりに訪れた勝利投手の権利。点差を思えば“守りの投球”に入ってもおかしくない場面だった。
しかし、有吉は攻めた。いつになく大胆に、そして丁寧に――。
4番山川穂高の初球に内角高めのストレートを選択し、センターフライに打ち取ると、5番森友哉には内角低めの抜いた変化球で空振り三振。ひとり敬遠を挟んだが、最後も7番木村文紀を外角低めのスライダーで空振り三振に仕留め、自らの力で勝利を引き寄せた。
1年目からフル稼働、2018年は6勝。
有吉は九州三菱自動車から2016年のドラフト5位で千葉ロッテに入団した。1年目のキャンプでは休むことなく連日ブルペンに入るなどタフネスをアピールした。
入団当初は相手球団にリードをされた場面で登板する“便利屋”的な起用も多かったが、徐々に首脳陣の信用を勝ち取ると、試合を左右する重要な場面を任されるなど中継ぎで53試合に登板。2年目の'18年にはシーズン途中から先発を任されるなど6勝をマーク。着々と実績を重ねていった。
しかし、勝負の年と決めた3年目。有吉の肘が悲鳴をあげる。