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右肘手術から復活のロッテ有吉優樹。
七夕の夜に挙げた679日ぶりの勝利。 

text by

永田遼太郎

永田遼太郎Ryotaro Nagata

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photograph byKyodo News

posted2020/07/18 11:30

右肘手術から復活のロッテ有吉優樹。七夕の夜に挙げた679日ぶりの勝利。<Number Web> photograph by Kyodo News

7日、今季2試合目の登板で679日ぶりの勝利を挙げたロッテ有吉優樹。昨季は手術も経験し、2試合に登板のみに終わっていた。

「速い」とは言えない。だが、キレはある。

 7日の投球内容を見るとストレート系が全部で47球。その内ツーシームと思わしきボールが9球ほどあった。球速も140kmに満たないものが半数以上を占め最速でも142km。お世辞にも「速い」とは言えない。だが、それでも相手のバットが差し込まれるシーンが何度か見られ、ボールのキレ自体は悪くなかったように感じる。

「球速に関しては141kmか142kmくらいが出ればいいかなと思っていました。単純に球速だけを出そうと思ったら彼も出せたと思うんです。だけど今の身体の状態でそれをしてしまうと肩や肘にも負担が来てしまう。あと球速を過剰に出そうとすると、その分、長打も打たれやすくなってしまうと思います。なので今の状態、今のフォームでは142kmくらいを出せていれば全然問題ないと思います」

 今季ここまで2試合に登板して防御率は2.25。昨季と同じ3試合の登板でも、結果と内容は今季の方が詰まっている。ならば今回のフォーム変更は“吉”と出たと信じたい。

「彼の場合、満点は常にないんです。自分への評価が厳しくて現実的な部分をよく分かっている。自分の調子が良くても結果が悪かったら『野球は結果ですから』と。それも自分の責任だと思っているところがあるので、自分を客観的に見る部分を常に持っていると思います」

 復帰初勝利の試合後、有吉の笑顔には一点の曇りもなかった。それが一番の答えである。七夕の夜に頼もしい男が帰ってきた。

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有吉優樹
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