ぶら野球BACK NUMBER
神戸で思い出した野球観戦の快楽。
野球場は狂おしい程に自由なのだ。
posted2020/07/18 10:00
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph by
Yasutaka Nakamizo
街のいたるところにイニエスタがいた。
さすがヴィッセル神戸のお膝元だ。ワイン片手に微笑みスポーツバーの宣伝までこなすJリーグの至宝。
全然関係ないけどキューバの至宝、それはフレデリク・セペダだ。なんつって小ボケをかましながら、三宮駅から神戸市営地下鉄に乗り巨人対ヤクルト戦が開催される、ほっともっとフィールド神戸を目指す。最寄りの「総合運動公園駅」に降り立ち、そういえばここに来るのは日韓W杯の壮行試合でイングランドvs.カメルーンを見に来て以来だと思い出す。
当時、デビッド・ベッカムが大人気だったが、故障中のため出場せず、試合後にグラウンド上で軽いランニングをして観客にお披露目というなんだかよく分からないファンサービスが行われた。ソフトモヒカンのベッカムヘアって流行ったよなあ……なんて、あれから18年が経ったことに愕然とする。
看板の見たことがない文字量。
いやー本当に長かった。新型コロナウイルス感染防止のために無観客で開催されていたプロ野球でも7月10日から有観客試合が戻ってきた。まずは5000人を上限にした第一歩だ。
首位で迎える7年ぶりの巨人神戸主催ゲーム。特別な意味を持つ今季17試合目、雨模様の空の真下、16時の開門時には多くのファンが一定の距離を保ちながら列を作っていた。
「酒類持ち込み禁止」「全面禁煙」「メガホン使用禁止」等、ゲート前のいくつかの立看板に球場で見たことのない文字量でぎっしり禁止事項が表記されている。
入場前にサーモグラフィーによる検温、手指のアルコール消毒、お客様情報登録カードに席番を記入して専用の箱へ。来場者に橙魂ユニフォームとセットで配布されるDAZNのビニール袋の中には、アルコール除菌シートも入っている。