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部活を再開する前に考えたいこと。
「やらない自主性」の大切さ。 

text by

中澤篤史

中澤篤史Atsushi Nakazawa

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posted2020/07/15 07:00

部活を再開する前に考えたいこと。「やらない自主性」の大切さ。<Number Web> photograph by AFLO

部活動の「自主的な活動」という性質が今ほど問われている時はない。ここが正念場なのだ。

「部活を再開したい」は一枚岩か。

 では、こんな風に「自主性」を疑ってみた立場から、2020年のウィズコロナの状況での部活を考えていきましょう。

 早く部活を再開したい生徒や保護者がいる一方で、集まって活動するリスクが気になる人もいます。勉強の遅れを取り戻して受験に備えることにプライオリティを置く家庭もあるでしょう。

 たとえば水泳や柔道の授業はやめるのに、なぜか水泳部や柔道部は活動再開となったら、参加をためらう生徒がいてもまったく不自然ではありません。

 でも、なんとなーく、部活に参加しなければならない空気ができあがり、イヤイヤながら一旦参加してしまうと、もう抜けられない。

 始まってしまえば部活の慣性は強いですから、あっという間に元通りの激しい活動になったり、大会に向けて過熱化していきかねません。

「自主性」で責任を生徒に押し付けないために。

 だからこそ、改めて「本当にあなたは部活に参加したいのですか」という同意を集める必要があると思います。これは生徒だけでなく、保護者の同意を含みます。

 私が心配するのは、「自主性」という言葉で選択の責任を生徒に押し付ける事態です。

 生徒はまだ未熟な子どもですから、「自主性」の使い方を誤ることもあるし、「自主性」だからと言って何でもかんでもOKとはなりません。

「自主性」という美辞麗句で誤魔化さず、部活を再開するか、どんな形で再開するかについて、保護者や教員がしっかりと責任を引き受ける必要があるのです。

 人数が揃わないと部が成立せずに、練習できないようなケースでは特に、同調圧力や強制が起きないように注意する必要があります。

 アンケートなどをとって、1人ひとりの声に耳を傾けてください。

【次ページ】 強豪より、普通の部活こそ慎重に。

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