酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
藤川球児や村田修一、西岡剛に
又吉克樹もいた独立Lの魅力指南。
posted2020/07/13 07:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kou Hiroo
何を隠そう、筆者は「独立リーグの味方」である。2005年に日本初の独立リーグである「四国アイランドリーグ」ができてから、毎年観戦している。2007年に「BCリーグ」、2009年に「関西独立リーグ」が誕生して、これも追いかけている。
かなりの野球ファンであっても「なんで独立リーグなんか見ているの?」という人が結構いる。球場は古くて小さいし、選手は見劣りするし、お客は入らないし……。プロ野球があるのに、わざわざ見に行く人は相当な物好きだ、というところか。
そういうファン各位のために「独立リーグの魅力」を少し紹介したい。
筆者の見るところ、独立リーグのだいご味は「NPBとの差を実感すること」につきる。設立当初は、投手の球速が140kmに届かなかったり、ホームランが出なかったり、独立リーグは見劣りしていたが、今はそんなことはない。投球も守備も攻撃も、見た感じではあまり差はないのだ。
藤川球児が高知で登板したときは。
しかし、そこに一流のNPB選手が加入して一緒にプレーすれば、くっきりとした「差」が見えてくる。
2015年、MLB帰りの藤川球児の四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグスへの入団は大きなニュースになった。高知市内のホテルで行われた記者会見に出席したが、大物を迎えて高知球団はぴりぴりしていた。
高知での最初の試合はオープン戦だったが、藤川がゆったりと投げ込む球を打者たちは芯で当てることができなかった。
最初に内野に転がった打球を、当時17歳でブルキナファソから来た練習生の三塁手サンフォ・ラシィナがジャックルしたときは、球場中が凍り付いたようになった。NPBでは救援1本の藤川だが、高知では完封勝利も記録した。これがその後NPBに復帰した藤川にとって、いい気分転換になったのは間違いないだろう。
同じようにボールを投げているが、NPBと独立リーグではこんなに差があるのだ、と思ったものだ。