酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
藤川球児や村田修一、西岡剛に
又吉克樹もいた独立Lの魅力指南。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2020/07/13 07:00
BCリーグ栃木でプレーした経験のある村田修一のように、NPBで実績を残した名選手が独立リーグに、というケースも増えている。
若手に積極的に声掛けした西岡。
昨年、村田と同じ栃木に西岡剛が入団した。鼻柱の強い選手だが、栃木では自分から若手に声をかけ、シートノックでも活発に動いていた。栃木では阪神時代に続き二塁だけでなく外野も守ったが、彼自身何事か思うところがあったのだろうと思わせた。
そういう例ばかりではない。2007年のソフトバンクの大学生・社会人ドラフト1位、大場翔太は2014年ころから三軍として四国でも投げたが、ストライクが入らず置きに行くところを独立リーガーに痛打されていた。昔どんなに活躍しても「顔だけ」では野球はできないのだと感じた。
独立リーグとNPBの差を実感できるのは、独立リーグが「NPBの野球のスタイルをそのまま引き継いでいる」からだ。監督、コーチは原則としてNPB出身者。審判もNPBと同じ基準でジャッジしている。ちなみに審判もNPB入りを目指している。
つまり、NPBと独立リーグは垂直の関係でつながっているのだ。だから実力の比較が容易なのである。台湾プロ野球(CPBL)で日本人選手がプレーすることもあるが、CPBLとNPBでは野球の文化が異なるから、独立リーグに比べれば成績の単純な比較が難しい面もある。
又吉が香川で語り草になった逸話。
反対に独立リーグからNPBに上がる選手も印象的だ。
2013年に四国アイランドリーグplusの香川オリーブガイナーズでプレーし、この年のドラフト2位で中日に入団した又吉克樹は、四国では24試合13勝4敗、防御率1.64という圧倒的な成績を残した。それ以上に周囲が感心したのは意識の高さだ。又吉は「1年でNPBに行く」と決めて野球に集中していた。香川の西田真二監督(当時)は、「他の選手とは目の色が違った」と話した。
中日入りした又吉は翌年、古巣香川の開幕戦に花輪を送って、関係者を感激させた。「又吉はモノが違った」と今も語り草になっている。